最近読んだ本です。
「アトランティスは沈まなかった」
ウルフ・エルリンソン著 山本史郎訳 原書房刊
今から約1万2千年前に、大西洋に沈んだと言われているアトランティス大陸。もともとはギリシアの哲学者「プラトン」が記した政治対話集「クリティアス」「ティマイオス」に登場する伝説の島です。
その後、「アトランティス大陸はどこにあったのか?」が世界中で大議論になり、
「当時火山の噴火で島の大部分が吹き飛んだサントリーニ島であると説や、クレタ島であるという現実的な説から、トンデモ説までいろいろある。ちなみにこれはこのあと、
「大西洋に沈んだ大陸があるのなら、太平洋にもあっても良いだろう」
ということで「ムー大陸」など、数々の伝説が生み出される契機となった。そう言う人たちには残念な報告だが、大西洋に沈んだ大陸の痕はないし、太平洋にも沈んだ痕はない。ムー、レムリアの両大陸は全く根拠のない話です。
一方、アトランティスは
「あの教科書にも出てくるプラトンが書き残している」
という一点に於いて、一目置かれていたわけですが、今のところあまり手を出さない分野となりつつあります。
今回、ウルフ・エルリンソン氏はそこに手を出し、
「アトランティスはアイルランドのことだ」
という説を出したのでした。まぁ、その説の妥当性はこれから様々な研究者による検証が行われて行くのでしょうが、この本の書き方の面白いところは、
「自分の仮説が間違っているという証拠を探す」
という書き方になっているところです。仮説が100%間違っているという証拠が見つかれば、その仮説は捨てなければいけない。でも否定できないのならば、他の研究者によるさらなる検証を待たねばならない、としているのです。こういう書き方、大好きです。いや、これぞ
「科学的」
な態度ですね。多くの研究者による研究を待ちたいと思います。