投稿者: kazusa1969

10光年先を見るために

1.はじめに
 この分科会の目的は、いつも「まぁこれくらいなら見えるんじゃないの?」と適当に流してきた観測をより厳密に、「どれくらいのスペックの機器があればど のくらいまで観測が可能なのか?」を検証することである。そのため、典型的なコンタクトの例として10光年先の様々なものがどれくらい見えるのかを設定し た。これより遠いところもこれを基準にすれば、原理的にどれくらい観測可能かは計算が可能となる。
分科会は以下のように、まず課題を設定し、それを波長ごとに分類し、ほぼ同じ機材を使用できるものにグループ分けして検討を行っていくという方式を取った。ここではグループを「可視光線・赤外線」「電波」「X線・γ線」にの3グループに分類した。

2.課題設定
 まず最初に課題設定を行った。以下に出てきた観測したい項目を波長ごとに分けて列挙する。

1)惑星の有無は確認できるか?
2)大気や水の有無は確認できるか?
3)地球型惑星の表面の様子はわかるか?
4)建造物など都市の様子などを確認できるか?
5)異星人の顔は確認できるか?

6)電波放送は受信できるか?
7)核実験は検出できるか?
8)宇宙船の核パルスは検出できるか?

1)~5)は明らかに可視光線または赤外線領域の話だ。6)は電波の話だし、7)、8)はX線・γ線である。では3~5章にかけて、実際に考察を行っていく。

3.可視光線・赤外線
 まず基本として、1)の「惑星を見るためには」を考える。大きさは地球程度だと考えると、大体1万km程度のもの、ということになる。詳しい計算は7章 の「補足」に譲るとして、結果としては1光年先だと見かけの大きさは0.2ミリ秒角(mas:mili arc second)ということになる。つまり10光年先だと0.02mas。計算を簡単にするために0.01masとしよう。
今、すばる望遠鏡(口径8m、簡単のために10mとする)の分解能が10mas程度の分解能であり、分解能は単純に口径に反比例するので、3桁分解能を上 げるには3桁口径を大きくすれば良い。となると10km。ただしこれだと惑星が点として写るだけなので、せめてWindowsデスクトップ程度に写るよう な解像度(XGAくらい)が欲しいとなると、さらに3桁上げて1万km。地球サイズの鏡があれば何とか。ちょうど10kmの大きさの物が点として写る程度 だ。
しかしこれだけのサイズの物を向けたい方向に動かすのはかなり難しい。そこで干渉計を考えることにする。光・赤外干渉計だ。これならば惑星の光を捉えることが出来る口径の望遠鏡を必要なだけ離してやればOKだ。
ではどれくらいの口径が必要かというと、1光年先から地球を見ると、その明るさは1mJy。10光年先だと明るさは100分の1で0.01mJy。すばる望遠鏡ならば十分捉えることが可能だ(図1)。
これで惑星の写真を撮影するための大体のスペックが決まった。口径10mの望遠鏡を複数台、地球と静止衛星軌道あたりに置く。もしくはもうちょっと小さな惑星でも検出・観測できるように、地球-月系の干渉計を構築すればよい。
観測手順としては、まず相手恒星系の恒星が邪魔になるので、コロナグラフという特殊な加工を施した望遠鏡でもって、少し倍率を落として、惑星の位置を検出する。その後、干渉計でイメージを作るのだ。

ではこれを基本として2章で列挙した2)~5)を検討してみよう。
2)はスペクトルの話なのでここでは一旦置いておく。すると検討にのぼるのは3)~5)だが、スケールとしては以下の様になる。
3)サイズ1~10km程度 → 分解能10μas~1μas
4)サイズ10~100m程度 → 分解能0.1μas~0.01μas(100nas~10nas)
5)サイズ1~10cm程度 → 分解能0.1nas~0.01nas

上記のスケールを点ではなく、撮影できる程度の分解能で達成するには、3)は1)よりも3~4桁干渉計の基線長を長く取る必要があるので、1千万~1億 km離した干渉計が必要となる。まぁ、1AUも離せば良いのだから、地球近傍と太陽-地球系のラグランジュ点(三角形解)あたりに設置すればOKである。
4)はさらにそれよりも2~3桁上なので、100億~1千億km。AUで言うと約60~600AU。すでに現実的な数字では無くなってきた。冥王星軌道の両端に望遠鏡を設置して干渉計にする必要があるが、これは同期を取ることが出来ないのでは?
5)はさらに2~3桁上がるので6万~60万AU。光年で言うと1~10光年。相手の星系まで探査機を飛ばした方が手っ取り早い。

というわけで、現実的には10光年先の「惑星表面の都市の様子が観測できる」くらいまでが現実的な値と言えよう。

ではスペクトル観測をする必要のある2)であるが、これは惑星が十分な明るさで観測できれば問題ないので、1)を満たすことが出来ればほぼ大丈夫という 判断をしてよい。ただしぎりぎり写るという程度では分光できないので、ある程度は余力を持たせる必要がある。明るさは口径だけに拠るので、10m程度の口 径があればぎりぎり。余力を持たせるためには数等級暗いところまで検出できる必要があるとすると3倍程度、つまり30m程度の口径があれば十分であろう。

4.電波
 例えば10光年先から現在の地球から出て行く電波を捉えることが出来るかどうかを考える。そこでまずは現在の電波望遠鏡の感度を基にして、10光年先での放送される出力の下限値を算出した。
さて、現在の電波望遠鏡の感度は大体0.1mJy(ミリ・ジャンスキー)という値である(図1参照)。Jyという単位はあまりなじみのないものであると 思われるが、これはSI単位系では1E-26W/m^2/Hzとなる。従って0.1mJyは1E-30W/m^2/Hzとなる。
ここから放送出力を算出する。10光年という距離は約1E+17mだから、これを掛け合わせると最低限の放送出力は1E+4W/Hzとなる。周波数あた りの強度が10KWということだが、通常はもっと大きな出力で放送しているため、十分検出(視聴)可能だといえる。逆に言うとこれよりも出力の弱い、例え ばアマチュア無線や地域FMなどを受信するのは不可能と考えて良い。

また分科会内では議論がなかったが、分解能に関しては可視光線の1)と同等の分解能を現在のVLBIで達成していることから、地球型惑星の表面で強力な電波を発している箇所を特定できる程度の能力は十分あると考えられる。従って7)はクリア可能だろう。

5.X線・γ線
 これはかなり難しいのだが、2つの事柄に分けて考えよう。1つは分解能、そしてもう一つは感度である。
まず分解能だが、X線はともかく、現在のところγ線に分解能を求めるのはかなり難しい。というのも、現在のγ線観測は基本的に空気シャワー現象に伴う チェレンコフ光を観測している。そのためγ線のやって来た方向はそれなりの精度で特定できるが、ある程度以上の範囲まで絞ると、それ以上は誤差の範囲内に なってしまい、放射源の位置を特定するのは不可能と言って良い。実際、γ線バーストなどの観測も発生後すぐに光学望遠鏡がフォローアップ観測を行い、発生 源を特定している。
X線の方は数年前に国立天文台で開催された「大風呂敷研究会」で発表された物の中に1masの分解能を達成するという構想があることから、20年くらい のスパンで、このレベルが達成される可能性がある。つまり、現在のすばる望遠鏡クラスの分解能は達成されると考えて良い。ただし、干渉計に関しては同期を 取るのがほとんど絶望的なので、これ以上あげるのは無理かと考える。

続いて感度だが、あるエネルギー幅の中に入る光子の数が1秒、1平方cmあたり1E-5個くらいまでは誤差が少なく測ることが出来ると言って良いと思わ れる。もちろん観測時間(積分時間という)を延ばせば、もっと暗い天体でも写るのだが、誤差を考えるとあまりお奨めは出来ない(図2)。

さて、ではこのスペックで10光年先の何が見えるのかという話だ。つまり8)と9)を考えるわけだ。まずTNT換算で1メガトンクラスの核爆弾が発する エネルギー量は約1E+16ジュール。電子ボルトに換算するとざっと6E+34電子ボルト。これが全て1キロ電子ボルトのフォトンに変わったとすると、 6E+31個のフォトンに変わる。ちなみに1キロ電子ボルトという値を採用したのは、その辺のエネルギーレンジがもっとも感度よく検出できるからだ。とい うわけで、これが地球近傍にたどり着いたときにどの程度のフォトン数になるかというと、1平方cmあたり6E-6個。ぎりぎり見えそうな気もするが、これ では検出は無理である。誤差とかノイズに埋もれてしまっているために8)は完全に玉砕である。つまりその程度のものは見えないのだ。逆に見えるとすると、 上記の仮定の下でもTNT換算でせめて10~100メガトン。もちろんニュートリノに持って行かれる分や、その他の波長に食われる分を考えるとさらに 2~3桁くらい上でないと検出は出来ないことになる。そう言う意味では9)も不可能だろう。
すると、1メガトンクラスの核爆弾が1光年先で爆発しても、X線では見えない・・・可視光線でも・・・かもしれない。

6.最後に
 いろんな人から感想をいただいたが、「意外と見える」「意外と見えない」という意見が全てを物語っていると言える。これは参加した各人が「どの辺までは 見えるだろう」と漠然と抱いていたイメージにかなりのばらつきがあったことを物語っていると言える。ただ言えることは、どちらかというと「意外と見えな い」と思う人が多かったことだ。私自身も今回の分科会に先立ってかなり綿密に資料を集めた上、計算も行っていたが、思ったよりも見るのは大変そうだと思っ たのだ。
例えば可視光線・赤外線では、「そう苦労しなくても冥王星レベルは見えるだろう」とか「小惑星の大きいヤツは見えるだろう」と思っていたが、結構技術的 に高いものを求められると感じた。実はこの原稿を書いている最中に気がついたのだが、地球と土星の見かけの明るさがほぼ同じ、天王星、海王星あたりはすば る望遠鏡では検出不可能だということがわかった。何と恒星から離れすぎた惑星は、例えそれが巨大惑星であっても内惑星よりも暗くなってしまうのだ。そうい う意味では望遠鏡は大きいに越したことはないのだろう。

7.補足資料
 以下に、計算を簡単にするための、いくつかの数値を挙げておく。

1)大きさ&角度
・ラジアンから秒角への変換 ×2.0E+5
・1光年=約1.0E+13km=1.0E+16m=1.0E+18cm
・地球型惑星の直径=約1.0E+4km=1.0E+9cm
・地球型惑星の見かけの大きさ(1光年先)=1.0E-9ラジアン=2.0E-4as=0.2mas
・上記をXGAで見たければ・・・
10m鏡で10mas程度の分解能なのだから、1.0E+3倍
1000*1000Pixcelくらいで見たければ、1.0E+3倍
6桁上げればよい ・・・ 1万km

2)明るさ
・地球型惑星の明るさ = 1.0E-8erg/cm^2/s/sr/Hz
・地球を1光年先から観測すると
単位面積あたりの明るさ×面積/距離の2乗なので
(1.0E-8)×1.0E+18/1.0E+36 = 1.0E-26 = 1mJy
・上記を可視光線での等級で言うと約28等

3)その他
波長換算表
1eV =1.2398E-6m =2.4180E+14Hz
輻射強度
1eV = 1.6022E-12erg
1Crab = 2E-8erg/s/cm^2(かに星雲の明るさ)
1eV/s/cm^2/eV = 0.6626E-26erg/s/cm^2/Hz
Jy = 1.0000E-23erg/s/cm^2/Hz

アベノ橋魔法☆商店街のモデルとなった地域取材記

1.はじめに
 「アベノ橋魔法☆商店街」というガイナックス製 アニメの舞台となった天王寺・阿倍野界隈を久しぶりにフラフラすることにした。DVDを買ってしまった上、大学・大学院時代にはJRで一駅隣の寺田町が最 寄りの大阪教育大学天王寺学舎に通っていたため、この辺はよく買い物をしたり晩ご飯を食べに来たりした場所である。アニメでも語られている通り、再開発も かなり進みつつあることであるし、折角だから安倍晴明神社の取材も兼ねて、アニメに出てきた風景を撮影して回ろうと思いついた。

2.天王寺~東天下茶屋
8月17日 晴れ

 久しぶりにやって来た天王寺。家から地下鉄を乗り継ぎ天王寺までやって来た。今日の取材予定はまず安倍清明神社を回って、その後阿倍野・阿倍野筋商店街、そして「あべの銀座」へ。
「いやぁ、あっついなぁ大阪は」という鶴田謙二版のあるみちゃんがつぶやいていた様な日でありましたが、まずは阪堺電車で安倍清明神社の最寄り駅である 東天下茶屋へ。駅を降りて「この辺やったかなぁ」などと思いながら歩いていると、まず見つかったのが「阿倍王子神社」。ここの飛び地みたいな感じで「安倍 清明神社」はあるらしいので、まずはこの阿倍王子神社で参拝をした後に、目的の安倍清明神社へ。ちなみにこの阿倍王子神社にはとっても大きいクスノキがあ り、これがあのクスノキになったのでしょうか。

  そしていざ、安倍晴明神社。おお!これが、かの物語の舞台になった神社か・・・って小さいなぁ・・・とてもラジオ体操が出来るような広さはない。どちらか というと阿倍王子神社の方がそれらしい感じだったので、きっとその辺を混ぜて作品にしたのでしょう。でもさすがにお稲荷さんもありましたし、やはりここで も「ご縁がありますように」とお祈りしてきました。

3.阿倍野~再開発地域
  再び阪堺電車に乗って、今度は天王寺までは行かず、その一つ手前の阿倍野駅で降りる。ちょうど阿倍野ベルタの正面にあるんですよ、この駅。しかも!1話で 雅ジイが入院した後に出てくるシーンの元ネタ場所がありました。そう、この「サンタの作りたて工房」は、ちんちん電車が通り過ぎたときに見える「マンタの 作りたて工房」と全く同じシーンではありませんか!「そうかぁ、ここが元になっているのか」と、妙にマニアックな感心をしておりました。ちなみに、このあ と「折角だから」と阿倍野ベルタにあるはずのアニメイトに寄ろうとしましたが、場所がわからず断念。リベンジしに行かなくては・・・。

  そしていざ、「あべの銀座」から再開発地域へ。大和銀行の手前にあるのが「あべの銀座」の入り口なんですよ。いやぁ、久しぶりに行きましたが、だんだんお 店の数が減ってきているような・・・いや、もともとお店の数自体もそんなに多くない商店街なのですが、昔からあったアポロの横にもルシアスとかいう新し い、少なくとも学生時代を思い出したときには記憶にない建物も出来ていて、ずいぶんと変わってきている様子。「う~ん、再開発もここまで・・・」と思った 一幕でありました。

  そしてさらに裏の方にまわると、ありましたよ。「大阪市管理地」の看板。あの「亀の湯」の跡地に張られたフェンスにも張ってありましたよね。あの看板です よ。残念ながら「亀の湯」の元になったであろう銭湯は今回発見できませんでしたが、本当にあるんだなぁ、あの看板。しかもクレーンが持ち込まれている一角 もあり、「本当に再開発をやっているんだなぁ」と実感させられるところもありました。もう一回あの辺を回って、レポートしてみたいものです。


4.グリル・ペリカン?!

  その後、見つけてしまいました!そう、あるみちゃんの家「フランス一品料理グリル・ペリカン」の元になった場所!その名も「フランス一品料理グリル・マル ヨシ」!「『フランス一品料理』って、そんな店あるんかいな」って思っていましたが、本当にあるんですねぇ。しかも!この路地の形は、あるみちゃんとサッ シが走っていた、そして雅ジイが落下してきたあの形にそっくり!看板もペリカンの看板そっくり。しかもしかも、この「マルヨシ」の入り口は「ペリカン」と 同じような扉で、カーテンも同じ。ついでに言うと、「エスカルゴが3個で900円」というところまで一緒!

  うぉぉぉぉ!間違いなくここがモデルだ!しかもショックなことに、この奥には大衆中華料理チェーン店である「眠眠」があり、私は大学・大学院時代にこの道 を通って晩ご飯を食べに行っていたのである。しかも一回や二回ではない。なんで番組を見たときに思い出さなかったんだろう・・・?不思議である。シェフの おっちゃんに訊いたら昭和21年からやっているそうな。
ちなみに今日のお昼ご飯は当然「マルヨシ」でとった。ランチメニューがあり、1200円で食べることが出来る。内容はメニューに「洋風料理」と書かれて おり、「フランス料理」というよりは洋食屋さんメニューであったが。よし、次はあのメニューに書いてあったフランス料理を食べに行くぞ!というわけで、ツ アー参加者募集中!

2020/07/11追記

 

 

リクエストを受けまして、追記します。「グリル・マルヨシ」の場所ですが、すでに再開発により失われております。現在はあべのキューズタウンが建っています。赤い★マークを付けたあたりにありました。

5.次回に続く
 というわけで、「アベノ橋魔法☆商店街」の舞台となった地域を歩いて回った訳だが、まだまだ未発見のものがあると思われる。そこで、本来なら今日一日で終 わらせるつもりであったこのツアーをもう一回、今度は「あべの銀座」から新今宮駅の方まで拡張して行おうと思う。当然、あの「グリル・マルヨシ」でご飯 を、しかも今度はフランス料理を食べるのも目的としてだ。一人で行っても面白くないので、出来れば参加者募集!あ、ちなみに一人で行ってみたい人のために 「グリル・マルヨシ」の場所を示しておく。この大和銀行裏に小さな路地があり、そこを入ったところなので、もし行ってみたい人は是非どうぞ。ついでにここ に紹介しなかった写真を下の「写真集」をクリックすれば見ることが出来ますので、よろしければそちらもどうぞ。
では、第二回に乞うご期待!

北野異人館取材記

1.はじめに
 神戸の北野異人館である。大阪に住んでいるのだから神戸の異人館などいつでも行けるし、レポートを書くほどでもなかろう、と思われるだろうが、書いてしまったのだから仕方がない。しばらくおつきあいを願いたい。

2.出撃
8月4日 晴れ

神戸・三宮方面に取材に出かける。昨日急に思い立ったものだが、別に思い立ったから行くのではなく、プラネタリウムのシナリオを書いていたときに、異人 館の雰囲気がどうしても思い出せなくて困ったから、もう一度確認するのと同時に写真を撮影しておこうと思ったからである。
また以前からテレビで見て気になっていた、異人館通りあたりにある中華のお店に行ってみたいという希望もあったのは言うまでもない。しかし一人で異人館かよ・・・。さみしいものがあるな。
家を出たのはすでに11時半。もっと早く外出するつもりだったのだが、ついホームページの更新をしていて遅くなってしまった。まぁ、気になるところを次 々と見つけてしまったのだから仕方がない。それにしてもこのレポートがあがると、ますます「SF」からは遠ざかるなぁ・・・何か「SF」っぽくするコンテ ンツを開発せねば。
ついつい愚痴モードに入ってしまうが、折角晴れているし、それほど湿度も高くないので過ごしやすい日だし、たまにしか出かけないわけだから、楽しくやろう。

で、家の近所にある阪神電車野田駅から西宮行き急行に乗る。三宮まで直通では行けないらしい。まぁ、急ぎでもないし、のんびりと行けばよいだろう、と思 い途中で乗り換えることにする。海方向を見て、つまり陽が当たらないように北側の座席に座っているのだが、目の前に阪神高速の高架が見える。あ、そろそろ 甲子園か。道理で。そういや甲子園パークも閉園したんだっけ?すでに「住宅展示場」の看板が見える。さみしいものだ。
などと書いているうちに西宮到着。ここでいったん電車を降り、須磨浦公園行きの特急に乗り換える。現在12時5分。この調子で行けば12時20分頃には 三宮に到着できるかな?するとまず中華屋さんを捜していきなりお昼ご飯コースか。まぁそんなもんだろう。取材は13時頃からスタートすれば、18時までは 5時間も使える。いや、実際にはそんなに足がもたないだろうから、16時くらいには切り上げるとは思うが。すると図書館に本を借りに行くことが出来るか も。おお、なんて取材活動な一日だろうか。ライターの鏡ですな。プロじゃないけど。いや、お金もらってるからプロか。

車内の様子も、昔を思い出してみるとずいぶんと変わったものだと思う。新聞を読む人は当然いた。音楽を聴きながら本を読む人も、私が作品を書き始めた頃 にはいたが、ずっと携帯電話でメールを書いている女性とか、ましてや私のように小型端末で文章を書いている人などは考えられなかった。当時のワープロは ラップトップになった頃だったしね。あれから考えると15年。本当に世の中変わったものだと思う。15年でこの有様なのだから、100年後の未来を予想し ようなんて、鬼が笑うどころか滑稽でしかないのかもしれない。でもSF作家はいろいろと未来を考えるし、将来を予想したがるものだ。ジュブナイルやライト ノベル系は別として。そうだそうだ、折角だから、うちのホームページには「こんなのは開発できないだろう!」と大見得を切って言える変なものを準備しよ う。あの「重力ソフトレンズ」みたいに。あれなんかはっきり言って、私が考えた中で無用の長物第1号になるものだろうなぁ、という変な自信を持っている ぞ。

と、三宮到着。時刻は予想通り12時20分ちょっと前。さぁ、いざ北野異人館方面へ。まずは昼飯だ!

3.異人館めぐり
 などと書いていたにもかかわらず、北野坂への入り口のところで1300円の「パスポート」なるものを購入してしまい、しかも中華屋さんが見つからなかっ たため、そのまま先に取材をすることに。まず目指したのは「香りのオランダ館」「デンマーク館」「オーストリアの家」。「香りのオランダ館」は旧オランダ 総領事邸らしい。ライプライターだのオルゴールだののアイテムの写真を撮る。中は香水の香りで良い感じなのだが、何しろ目的が目的なので香りなんぞそっち のけで、ひたすら雰囲気がわかる写真と珍しいアイテムを撮影することしかしない。楽しみ方としてはちょっと違う気もするが、まぁ取材なのでよいだろう。
続いての2館はテーマ館。まぁ、半分はどうでもいい感じだった。一応デンマーク館の方で、昔の傘やステッキ、ヴァイキング時代の男性・女性の衣装を撮影できたので良しとしよう。オーストリアの家でも貴族の衣装を撮影できたので、これもそれで良しとする。

これだとあんまり目的を達したような気がしない。そこでさらに回ることに。続いて行ったのは旧中国領事館。いや、「うろこの家」に行くつもりが通り過ぎ てしまい、そこまで行ってしまったんだけど。ここで3500円払って「うろこの家グループ9館」を回ることの出来るチケットを購入。すでに昼ご飯のことな どどこへやら。ここから怒濤の異人館めぐりが始まったのだ。
旧中国領事館はやっぱり中国の家具が多い。こちらの欲しいイメージとはちょっと違うので、とりあえず撮影はするがパス。続いて北野外国人倶楽部(旧フ リューガ邸)。ここは結構ものの揃ったキッチンがあったり、その上にメイドさんの部屋があったりで結構面白い。外では特選入館券を買った女性がドレスを着 させてもらったりしている。結構良い感じだ。そして山手八番館(旧サンセン邸)。やたらと仏像や前衛彫刻なんかがあったりして、仏教美術展を見ているよう だ。しかも何故だか1階にも2階にもドン・キホーテとサンチョの像がある。何なんだろう、これは?
さらに「うろこの家(旧ハリヤー邸)」。ここは良いぞ!タイプライターにカメラと三脚。それにあれはテニスラケットか?うむ、良いものを見せてもらった。ついでに言うと隣の「うろこ美術館」も良い感じだった。今度はあの2館だけを回るのも良いかも。

さぁ、中盤も終わり終盤戦開始。まずは市営の「ラインの館」へ。残念ながら調度品はほとんどなし。期待はずれであった。さらに旧パナマ領事館。船の模型 がたくさんあるところはさすがに海運国パナマの領事館である。しかも入り口にあるのはシーホース像ときたもんだ。ちゃんと頭をなでてきましたよ。
残るは3館。まずは英国館(旧フセデック邸)。1階にも2階にもバーがあり、カウンターがある。良いのは裏に井戸があったりしたところか。続いて洋館長 屋(旧ボシー邸)。ここにはいろんな調度品があって、非常によい。いろいろ撮影したが、ちょっとピンボケ気味だったのは、逆光になるポジションのものが多 かったからか。しかも自分で光を放っている調度品もあるし。最後はベンの家(旧アリソン邸)。家中剥製だらけ。ホッキョクグマもいたが、あれで2.5m か・・・すごく威圧感がある。やはり身長差があると威圧感はそれだけ出てくるものだなぁ。勉強になる。
これで全て回った。途中結婚式を行っているカップルがいたりして、良い感じの一日だった。

4.その後
 その後、中華料理屋を捜してハンター通りへ。ようやく見つけるも15時まで?時計を見てみると・・・あ、回ってら。うーん、残念。今度にするか。
やむを得ずそのままうろうろし、結局のところ駅前の地下飲食街で昼食。3時間に渡って歩き続けたものだから、足が棒のようだった。
昼食後はとっとと家に戻ってしまった。まぁ、こんなもんだろう、今日のところは。
次回は「風見鶏の館」とか、西の方を回ろう。いや、もう別に資料は揃ったから行かなくても良いという噂もあるのだが。

CJ Extra for NHK After Report ~アヒスト再び~

発端
 2/10。昨日のAC1に引き続いて、NHKの取材のためにFCSをやるというので、やって来たのがここ、新大阪コロナホテル。今日のは簡易版なので、 最初から異星人設定も作られたものがあるようだ。9:00開始だと聞いていたので8:30過ぎにホテルに着くと、そこにいたのは林さんと大井さんだけ。あ れ?他の人はまだ?
とりあえず3人で机を並べているうちにNHKスタッフが到着。1部屋しか借りていなかったCJ側に対し、
「FCSやるのなら2部屋あった方がいいですよね。もう一部屋借りましょう」
と借りてくれる。さすがはNHKだ。
で、人もだんだん集まって来たので、チーム分けをする。あ、私は今回異星人側か。では地球人のみなさん、さようなら。と地球人が全員出ていったところ で、異星人なんだけど・・・あの~、これってCJ4のアヒスト・・・あの時、私は地球人側で痛い目に遭わされたんですけど・・・。まぁ、いいか。「これも 経験だ」と割り切り、アヒストの設定を思い出す。
「確か無顎類から進化して、性は2つ。卵生でバカみたいに人口が増える。産児制限とか血縁重視はタブー」だったよね。これがどれだけ役に立つのかわからないけど。
9:30。FCSが始まる。生物設定はアヒストだけど、それ以外の設定が明かされる。まず、居住しているのはくじら座タウ星。タウ・セチとしてSETI では有名な恒星である。この星は地球人にとっても探査対象になっているので、すでに電波文明は脱していて、ここ100年くらいは電波発信を一切行っていな いことにする。
また惑星の数は7つ。そしてその第2惑星に我々は住んでいる。

プレ・コンタクト
 これよりアヒスト・モードに入る。但し年は地球の西暦、単位系は地球の標準的な単位系である。

2040年、我々は滅亡の危機に瀕していた。医療技術の進歩により、もともと多産であった我々アヒストは、人口が爆発的に増え始めたのだ。計算すると単 純計算でも40年の一生の間に2人で始まった一族が1万人を越えるため、どこかに移住先を求めることになり、恒星間探査・移民船の開発に力を注いできた。 そしてようやく完成の目途が立ち、以前から調査を続けており、知的生命体が存在すると考えられる惑星系にメッセージを送ることとした。この惑星系は牛飼い 座のはずれ、冠座との境界方面に10光年ほど離れた場所にあり(この星座は便宜上そう書いているだけであり、実際にタウ・セチからは全く異なった配列にな るはずです)、ハビタブルゾーン内にある第3惑星からかなり強力な電波が発せられていることがわかっている。第4惑星もゾーン内にはあるが、電波強度自体 は大したことがないので、おそらく彼らは主に第3惑星に住んでいるのだろう。

我々はかの星系に対し友好と移住したい旨を伝えるメッセージを電波で発信するとともに、恒星間探査機の建造に着手した。メッセージには相手星系の惑星の軌道半径と赤道半径を示すグラフ、そして我々アヒストの挨拶のポーズ、さらには第3惑星と第4惑星の上に同じ絵を置き、
「この惑星にすんでいるのか?」
と問い合わせるつもりのメッセージを送信した。サイズは1023×1023ドットという、かなり大きなものである。

10年後、2050年。恒星間無人探査機が完成した我々は20年後に着くように、0.13G加速を行うよう設定して相手星系に向けて発射した。当然、探 査機を送ることは相手に知らせる。相手星系で停止する(正確には人工惑星となる)探査機は、親機が母艦機能を持ち、通信の中継などを行う。同時に詳細な観 測を第3及び第4惑星に対して行うための子機2機、さらにバックアップ用に1機を積んでいる。
また同時に移民用コールドスリープ併用恒星間宇宙船の建造を開始した。これは探査機の設計をベースに大型化したものであり、20年後に完成の予定である。
この年、周期律表、我々の生体組成表、地質学的データ、大気組成・表面地質情報などの惑星環境データを送信した。相手がこれを解釈して、我々の母星に対する知識を得て、我々とよりよい関係を持ってくれることを望んでいるのだ。

2060年。そろそろ最初の返事が来る頃である。我々は次のメッセージを準備しつつも、彼らからの返信を待った。そして翌年、待ちに待った彼らからのメッセージが到着した。その内容は
1)第3惑星にのみ相手の姿らしきもの
2)我々の星系に我々の姿(第2、3惑星両方に)
これは第3惑星だけに居住しているという意味だろうか?それとも・・・少なくとも②は我々が恒星系の中のどちらかに住んでいるのだろうと考えていることを示している。すると、ただ単に向こうは第3惑星にのみ居住しているとも受け取ることが出来る。

明けて2062年。我々は先年のメッセージに対する返答を送ることにした。それは下のようなものである。
1)我々の星系(第2惑星にのみ我々の姿)
2)相手の星系(第3に相手、第4に我々の姿。上に)
これで我々は恒星系の第2惑星に居住していることを示し、相手側の恒星系の第4惑星に住みたい、若しくは行きたい旨を示した。
また同時に共通のコミュニケーション基盤を構築するために、文字、数字、演算記号、論理記号、単位系を送信する。これを2070年まで送信することとした。

2065年。2060年から逆噴射を始めた探査機を相手が観測可能になる。これで我々が向こうに対して探査機を送っていたことが我々の通信以外にもはっきりとわかるはずだ。

2070年。遂に待望の移民船が完成した。ちょうど探査機も先方に到着した頃である。我々は探査機からの結果が帰ってくる10年後に出発することを決 め、もう一隻の宇宙船を建造することにした。2隻体勢であれば、万が一どちらかがトラブルを起こしても、相手の恒星系にたどり着ける可能性が高まるから だ。また、あらかじめ出発前に予告を送ることにした。それは「第4惑星まで行きます。そこで会いませんか?」という意味のメッセージである。

しかし、気になることもないではない。向こうからのアプローチがあんまりないのだ。こちらから送ったデータに反応し、返答が来るまで最低20年かかるの は理解できるが、それにしても情報の露出があんまりないような気がするのは気のせいか?とはいえ、我々には残り時間や選択肢が限られているのだから、これ はもう仕方がない。

2080年。2隻目の宇宙船が完成するのと同時に、ついに待っていた探査機からの結果が返ってきた。その結果、第4惑星は大気が薄く、居住には適さない ことがわかった。また都市らしきものはないが、小規模な文明活動が認められた。一方第3惑星の方は窒素と酸素からなる大気を持ち、都市と大規模な文明活動 が見られた。当然我々の生存にも適した環境だ。だが相手の母星でもあるため、ここに移住させてもらえるかは交渉次第となる。
一刻の猶予もない我々は、この探査結果を受け、早速宇宙船を発進させることにした。2隻の船の1隻目には人員500人と居留地建設用の資材を、そして2隻 目には人員ばかり1000人を搭乗させ、20年後の2100年に到着するスケジュールで送り出した。当然のことながら、向こうでの居留地建設には技術者が 欠かせないので、かなり比率が高くなっている。
同時に母星側からは相手側に対し2100年に到着予定であること、そして第4惑星で会いましょうと言うメッセージを送った。また、まだまだ移住先を模索するとともに、移民を継続しないといけないので、3隻目の建造を開始する。

2082年。新しいメッセージが到着した。しかもこれは探査機を経由してきたものらしい。どうやら彼らは探査機を有人であると勘違いしてしまったよう だ。内容はどうやら第4惑星で会いましょうとも受け取ることの出来るもの、そして第4惑星表面上の地図である。ちなみに地図だとわかったのは、先年に探査 機から送られてきていた地図と一致したからである。ここで会談を行うつもりだったのだろうか?少なくともコンタクトには積極的らしい。これならば、先に発 進した2隻も先方の恒星系で無事コンタクトが出来るに違いない。

と、ここで時間がやってきたので、今回はコンタクトなしとなった。

反省会
 さて、反省会である。まず、今回のコンタクト全体に言えることであるが、先日のAC1の結果が反映されていたのは言うまでもない。どんな際にも相手の不 信感を招かないために、アヒスト側は何かを送る際には必ず予告を出した。また、フライバイ型の探査機はほとんど役に立たないであろうと言う結論から、相手 星系で停止するタイプのものが採用された。
地球人側からは新しい提案があった。短い期間で質問をするのは難しい。そこでとりあえず「これが事実なんだろう?」と突きつけてみる。もし間違っていれ ば、訂正されて返ってくるだろうというものだった。全ての項目についてこれらが使用できるかは判断が難しいところだが、少なくともアヒスト側は訂正した情 報を送り返したのだから、地球人側の意図は成功したと言って良いだろう。

しかしそれ以外には結構厳しい意見も出た。まずアヒスト側の出した最初のメッセージだが、地球人が第3、4惑星に住んでいるという事実の確認と同時に、 我々がそこに移住したいという意図を伝えたつもりだったが、これが相手には伝わらなかった。複文にしてしまってはわかりにくいということだ。つまり、最初 のメッセージは
「挨拶」
「相手星系の姿を示すという事実」
「第2、第3に住んでいるのか、という質問」
「そちらに移住したい、という希望」
と最低でも4枚は必要だったということだ。これを1枚で済ませてしまったのは、確かにわかりにくいかもしれない。以降についても同様である。また途中から地球人側のレスポンスが落ちたのは、我々の探査機が有人だと勘違いし、
「どうせ来るのなら無理に通信なんかしなくても、相手が来てから会見して訊けばいいや」
と、待ちに入ってしまったためであった。そういう意味ではこちらの動きは性急にすぎたのかもしれないが、かなり逼迫した状況を設定されてしまったため、や むを得なかったと言うべきかもしれない。あんまり厳しい初期条件を与えると、コンタクトは可能かもしれないが、プレ・コンタクトがおろそかになる可能性を 指摘されたわけだ。