今日も天体スペクトル研究会でした。で、今回印象に残ったネタ。それは

「我々は何を観測しているのか?」

というものです。もちろん天体を観測しているわけですけど、天体のどこを観測しているのか?という話。例えば月や火星といった固体表面が直接見えている天体については、それはその表面を見ているわけです。端っこもわかりやすいですし、半径も見た目の大きさから測定することだって出来ます。

ところが太陽などのガス天体の場合はそうはいかない。私たちが見ることの出来るのは

「光学的厚みが1になっている面」

なわけです。これは霧の時を想像してもらえればわかりますが、何らかの粒子が増えるとどんどん遠くが霞んで見え、一定以上の距離は何も見えなくなってしまいます。霧が濃くなるとどんどん見える距離が短くなっていきます。この

「これ以上向こうは見えない」

という距離を「光学的厚みが1」と呼ぶわけです。

太陽は水素とヘリウムのガスの塊ですので、地球や月のような固体の表面はありません。あくまでも見えているのは「光学的厚みが1」になっている部分です。実はこれがいろいろとおかしな現象を引き起こしてくれるわけでして…

宇宙で我々が見ているのはほとんどがガスで出来た天体なわけですから、この「光学的厚みが1」というのをしっかりと認識しておく必要があります。ですので、

「シミュレーションの結果から、こんな構造の天体があるはず」

というものがあったとしても、我々が観測するときには光学的厚みが1となるのはどこで、一体どんな風に見えるのか?は別途検討しなければいかんということです。あー、この話、一度大阪市立科学館の友の会で話しても良いかもしれん。

 

今日の歩数:10,019歩(3月合計:117,348歩)
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