遂に最終回です。ではパンシャープン画像を作成していきましょう。

まずはPRISMの画像「パリ高解像度.bmp」を開きましょう。

これに第2回で作成した「パリ・カラー.xcf」を重ねるのですが、注意点が2つあります。
まず1点目。それは解像度が異なっている、という点です。PRISMの画像はAVNIR2の画像よりも高解像度です。にもかかわらず、撮っている範囲は半分しかありません。実はPRISMはAVNIR2に比べて縦横、それぞれ4倍ずつの解像度を持っているのです。従って、「パリ・カラー.xcf」を縦横4倍に引き延ばしてから合成しなければいけません。ただでさえ670MB以上もあるものを面積で16倍に引き延ばすと…画像サイズがどの程度になるのか、恐ろしくて考えたくもない事態ですよね。

そこで2点目。必要なところだけトリミングして合成する、ということが必要になります。ですから

「どの範囲を合成したいか?」

を明確に決めておく必要があります。決められたらまずは切り取りを行いましょう。今回は比較的大きな範囲を切り取ることにしましたので、次のような手順を採用しました。

まずメニューの「画像」-「キャンバスサイズの変更」を選びます。すると子ウィンドウが表示されます。


ここで「幅」を変更しました。今回はあとでわかりやすいように8400にします。選んだサイズの四角い枠がサムネイル上に表示されますので、これをマウスでドラッグして位置を決めます。決めたら「サイズ変更」ボタンを押してトリミングを実行します。

ここで一旦保存します。この画像にカラー画像をかぶせるので、別名で保存する方が良いでしょう。

次に、カラー画像側の切り抜きを行います。カラー画像は解像度が4分の1ですから、幅を2100にしてやればいいわけですね。そこでメニューの「画像」-「画像の拡大・縮小」を選択しましょう。すると「画像の拡大・縮小」の子ウィンドウが開きます。

ここで、幅を4分の1の値である2100にして「拡大・縮小」ボタンを押します。


これでサイズが小さくなりましたね?

ここで「選択」-「すべて選択」で全体を選択します。

続いて「編集」-「コピー」で画像をコピーします。

これをカラー画像に貼り付けましょう。


次にこの貼り付けた画像の不透明度を調整しましょう。


そうすると、背景が透けて見えるようになりますので、貼り付けた画像の位置を調整し、下の画像ときっちり重ね合わせます。


場所が大体合ったら、「フローティング選択範囲」をレイヤーにするため、下の欄にある一番左のアイコンをクリックします。

ここで、先ほど貼り付けた画像より少し大きな範囲を選択します。

ここで「画像」-「選択範囲で切り抜き」を選択して下さい。すると、選択した範囲だけが残ります。

さて、これで準備出来たわけですから、あとはこれを拡大した上でモノクロ画像に貼り付けるわけです。

メニューの「画像」-「画像の拡大・縮小」で、4倍の値を入れます。今回はサイズが大きい旨の警告が出ましたが、これは無視して「拡大縮小」を押します。

続いて、この画像を「編集」-「コピー」でコピーします。

そして元のサイズに戻したモノクロ画像に「編集」-「貼り付け」で貼り付けます。

するとこんな感じで貼り付けが完成します。一旦、ここで保存しておきましょう。

さて、重ね合わせの位置調整を行います。これは先ほどの手順と同じで、レイヤーの不透明度を変更し、場所を合わせます。最終的には若干の回転が必要になります。
「レイヤー」-「変換」-「任意の回転」で子ウィンドウを表示します。

ここで今回は「-0.13」という値を入力し、反時計回りに0.13度回転させました。


これで一致しました。レイヤーをオン、オフにした際の画像を下に並べてみました。キッチリと重なることが分かります。

毎回この回転角度で良いかどうかは不明ですが、大体の目安になるのではないでしょうか?

あとはカラー情報だけを高解像度のモノクロの背景画像に転写するだけです。それは以下の手順で行います。

現在は「モード」が「標準」となっていますが、これを下から2番目にある「色」へと変更します・


これで「パンシャープン画像」の完成です。

それでは、2カ所程をピックアップして、AVNIR2のカラー画像、PRISMによるモノクロ画像、そして今回作成したパンシャープン画像を見てみましょう。

AVNIR2カラー PRISMモノクロ パンシャープン
コンコルド広場付近

 

AVNIR2カラー PRISMモノクロ パンシャープン
モンスリー公園付近

以上で今回のレポートは終了です。もしパンシャープン画像を作成する機会がありましたら、是非ご活用頂ければと思います。

最後になりましたが、このレポートの公開を快く承諾下さいましたJAXAご担当者にお礼を申し上げます。