メールマガジンを出すためにいろいろと考えてみました。
今回の話は「宇宙の膨張速度は加速している」というのを発見したからという理由での受賞だったわけですが、これを考えて行く上で、わかりにくい点があるので、整理してみました。
まずは「ハッブルの法則」を理解する必要があります。
「ハッブルの法則」は1929年にアメリカのエドウィン・ハッブルが発見した法則です。ハッブルは1920年代にセファイド変光星を使ってアンドロメダ銀河を始め、数多くの銀河までの距離「r」を求めてきました。
一方、元素の出す輝線が長波長側にずれているという赤方偏移から、銀河が我々から遠ざかる速度「v」を知ることが出来ます。ハッブルはそこから
v=H0×r
という法則を発見したのです。ここでH0は「ハッブル定数」と呼ばれ、観測から決めます。つまり、vもrもわかっている銀河でH0の値を決めるわけです。その結果、H0の値は70程度であるとされています。
ただし、vはスペクトルの観測さえ出来れば比較的簡単に求めることが出来るのですが、rは近い銀河でしかわかっていません。具体的に言うと、セファイド変光星で測ることが出来るのは「おとめ座銀河団」くらいまでで、距離で言うと6500万光年程度です。それよりも遠い銀河は距離rを知ることは出来ませんでした。
ですので、遠い銀河に関してはvを観測から求め、H0の値は近くの銀河で決めた値を使って
r=v/H0
から求めています。
さて、ところが近年、超新星Ia型を使うと、セファイドと同じくらいの精度で、もっと遠い銀河までの距離を求められることがわかってきました。実は観測結果は、「ハッブルの法則」から求めた距離で考えていた明るさより、実際の明るさの方が暗かったのです。つまり、本来の距離は、ハッブルの法則から求めた距離よりも大きい、それだけ遠くにあると言うことがわかったわけです。
すると、これまでわかっていたvと、今回新しくわかったrからすると、H0はこれまで考えられていた70よりも小さくなければいけないこととなります。
ということは…
6500万光年離れた「おとめ座銀河団」から求めた6500万年前の膨張速度は、もっと遠くにある、もっと昔の膨張速度と比較すると、速くなっていることになります。「加速している」という事になったわけです。
うーん…でもなぁ…
こんな感じのグラフが載っていたり(KEKより)、
「http://supernova.lbl.gov/PDFs/HubbleDiagramPhysicsToday.pdf」
のようなグラフが出ていたりするんですが、これって一般人に説明するには難しいグラフですよねー。むしろ、横軸に時間(何年前か)を取り、縦軸にハッブル定数(ある一定距離での膨張速度)を取ったグラフの方がわかりやすいと思うんですよね。どっかから元のデータを手に入れて、そのうち作ってみよう。
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