SF2001アフターレポート ~二日目~

宇宙開発の部屋
 う~、書きたい。でも書けない。凄いネタだけど今は言えない。10月になったら喋ってもOKになる可能性があるんですよね?それまで待って下さいね。公開可能になったら書きます。
お詫びにと言っては何ですが、この会場でNASDAの野田司令より野尻さんへのお土産だとして回された北欧のお菓子。野尻ボードでも書かれていますが、「味付きのゴムチューブ」かと思いましたよ、私は。北欧にはお菓子持参だな。

にせ「ハードSFのネタ教えます」
 いつもは「いろもの物理学者」さんが紹介しているとのことですが、今回は洋行帰りだそうで、ピンチヒッターで菊池誠氏が紹介しておりました。これは物理 学などの論文で、ハードSFに使えそうなネタを教える、という前提で、とんでもなくいろものとしか思えない論文を紹介するというものです。

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エンディング
 暗黒星雲賞の授与式、ファンジン大賞の授与式。そして星雲賞の授与式。これらの授与式が一通り
終わると、あとは閉幕だけだ。みなさん、30時間もの間お疲れさまでした。ゆっくりお休み下さい。

SF2001アフターレポート ~初日~

会場
 当日。幕張メッセにまでやって来てびっくりした。どう見てもSF大会とは関係なさそうな人たちがうろうろしている。しかし私もSF大会は初めてである。
「もしかしたらそんな人でも参加する大会なのかも知れない」
とも一瞬思ったが、ダフ屋までいる。
「SF大会でダフ屋?!」
そう、そんなわけはなかったのだ。どうやら近くでコンサートがあったらしい。そのチケット目当てのダフ屋だったのだ。しかし中には意味が良くわからず、
「SFないか、SFないか」
と言っているダフ屋もいたらしい(苦笑)。
で、本チャン。ポスターを宇宙作家クラブのブースに預けて、オープニング会場へGO!

オープニング
 いきなり笑わせていただきました。そうですか、間に合いませんでしたか、オープニングアニメ。Webで公開されるとのことですので、気長にお待ちしておりますね(笑)。
あと「酒」ネタ。主催者は「一応」って言っちゃ~いかんよなぁ~(笑)。20歳未満の未成年は酒はダメだよ~。ちゃんとそう言わなきゃ~。「一応」主催者なんだから~(笑)。

ライブ「教養」
 は、話の落としどころはどこ?結構ドキドキしてしまいました。しかし本当にいろんな事をご存じな方ですねぇ・・・小松先生。高千穂さんが軽くあしらわれ ている様に見える。あの内容を本にするんだから、確かにその努力の量には脱帽です。高千穂さん、鹿野さん、お疲れさまでした。

ファースト・コンタクト・シミュレーション
 盛況。こんなに入るとは・・・。主催者が
「言っておきますが、この企画は面白くありません!」
って言っても誰も出ていかないまま企画はスタートしました。
まずはCJ代表の大迫氏からFCSについてのいつもの解説。続いてゲストの小林泰三氏、林譲治氏の挨拶。林さんのコメントが良かったですね。
「私の挨拶はこの企画と同じくらい面白くないので、これで終わります(笑)。」

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松本零士 モリ・ミノル漫画を語る
 そうか、小松左京氏は漫画でデビューしたのか。これは知らなかった。まぁ、ご本人が封印されていたのだから知らなくても当たり前であるが。
と言うわけで、小松さんは説得されましたので、小松さんが「モリ・ミノル」というペンネームで書いていた漫画は、来年早々に(復刻)出版されるそうです。

トランスジャンル作家パネル
 「瀬名秀明 SFとのセカンドコンタクト」との続きに近い企画。しかしその時間は上の話を聞きに行っていたので、こっちだけ見に行った。

結論その1
「パラサイト・イブ」にSFファンからの非難が集中したのは、「ハードSF信号」を受信したファンがハードSFだと思って読んでいたら、実はホラーだったのでがっかりしたから。

結論その2
SFファンは自分の基準に照らして受け入れられないものを「こんなのはSFじゃない」と言う癖みたいなものがあり、これはハードSFファンに顕著に現れる。

結論その3
瀬名さんが「SFの地位を高めよう!『SFじゃない』を封印しよう」と言ったのにほとんど反応がなかったのは、その前に散々やり尽くした後で、もうその話は蒸し返したくない、と思う人が多く、タイミングが悪かったからである。

などの結論が得られたのだと思うんですが、間違ってるかなぁ・・・?

お笑い架空戦記教室(途中まで)
 林譲治さんなどが参加していたこの企画。夜の8時からですよ。私はと言うと9時には小松左京さんの部屋に行くことにしていたので、その辺をぶらぶらした後、この企画をちょっと覗いてみた。が、ホントに覗いただけで何をやっていたのかまでは把握できなかった。残念。

小松左京氏の部屋へ乱入(宇宙作家クラブ)
 21:00から「宇宙作家クラブ」のメンバーで小松左京さんの部屋を襲撃。いや、小松さんの方から「若い連中と会って話がしたい」という提案があったも ので。押しかけたのは青山智樹さん、あさりよしとおさん、大迫公成さん、小川一水さん、國分利幸さん、笹本祐一さん、瀬名秀明さん、野尻抱介さん、藤崎慎 吾さん、松浦晋也さん、そして私(50音順)。
私は11:40頃までおじゃまして、その後國分さんと共に部屋を後にした。

宿でお休み
 宿に戻る。最初は会場で寝ることも考えたが、さすがにそこまで若くはない。でも私より年齢が上の人でも「徹夜した」とか言っているのは凄い!凄いとしか言いようがない!とてもじゃないが、私にはそんなパワーはない。宿でおとなしく寝ましたとも、ええ。
ただし、私の取った宿は最寄り駅が八丁堀。時間かかるんだ、これが。まぁ、仕方ないんだろうけどね。

SF2001アフターレポート ~SF大会の前に~

はじめに
 行ってきましたよ「SF2001」!なんとSF大会は初参加です。
このページはその前日から東京をふらふらとうろつき回った参加者が、その旅行記とすると共に、SF大会を初参加者の視点から熱く語るページである。
なお今回まわった場所及び企画は以下の通り。

・渋谷E-Field
・浜松町NASDAi
・かがくみらい館

SF2001
・オープニング/ライブ「教養」
・ファースト・コンタクト・シミュレーション
・松本零士 モリ・ミノル漫画を語る
・トランスジャンル作家パネル
・お笑い架空戦記教室(途中まで)

小松左京氏の部屋へ乱入(宇宙作家クラブ)
宿でお休み

・宇宙開発の部屋
・にせ「ハードSFのネタ教えます」
・エンディング

まずは行きました渋谷に出来たというガンダム劇場「E-Field」!詳細はレポートをすでにアップしていますので、そちらに譲ります。
しかし、真っ先にここへ行ったのには理由があります。何しろこのあと浜松町は宇宙開発事業団の中にあるNASDAiでH-2Aの打ち上げポスター70枚 をせしめてSF大会に持っていかないと行けない。あんな大荷物を持ち運ぶのは大変だから、先に行けるところには行っておこうというわけだ。
で、行ってみると確かに大変(^^;)。でっかい段ボール箱に入っている。
今回手配してくださったスタッフの森さんに
「あの~、手提げ袋の方がありがたいんですが・・・」
と話し、NASDAの紙袋2つに折れたりしないよう、丁寧に押し込む。「丁寧に押し込む」というのは日本語としてちょっとおかしい気もするが、まぁヨシとしよう。
これを東京駅の一番大きなロッカーに放り込み、ついでに宿泊用のものも全部押し込んで、パソコンとカメラだけというスタイルで次の行動に出ることにした。
が、どこに行くのかなんて考えていなかった。最初は
「池袋のサンシャイン・プラネタリウムあたりでウルトラマンティガをやっているのでは?」
と思っていたが、実は気のせいだったようだ。仕方なしに他に行きたいところがないかを考えると、「かがくみらい館」とやらに行ってみようと思いつく。しか し場所がわからない。確か”ゆりかもめ”に乗っていくらしいことまでは覚えていたが、具体的にどこの駅で降りると良いのかなど、知らないことが多すぎる。 そこで本屋で立ち読みをし、新橋から乗って船の科学館のあたりで下車すればいいことを確認した。
早速新橋に移動し、とりあえずそこで昼食。その後”ゆりかもめ”で「かがくみらい館」へ。到着したのは16時頃であったが、まぁ良しとしよう。
展示ブースを見て回ると、確かにあの「地球儀」がある。しかしいろんな展示物があるが、体験型が多く、朝からゆっくり見に行った方が面白そうなことに気 が付く。でも今回は時間もないし、仕方なしにいろんな展示を斜めに見るだけにし、適当な時間で切り上げた。というのは、この後東京で就職した友人と晩ご飯 を一緒にするつもりだったからだ。
で、次に秋葉原に移動し、パソコン屋を回りながら友人からの電話を待つ。するとまだ仕事が終わらない、という旨の電話がかかってきた。じゃあ、ということで彼の勤め先がある池袋まで移動。そこで落ち合い、食事。そして宿に向かう。
さぁ、明日はSF大会だ。

E-Field OPEN! ~五島プラネタリウムは今~

 8月17日、金曜日。私は東京は渋谷にある東急文化会館(写真1)にやって来ました。ここは3月まで五島プラネタリウムがあったところです。日本プラネタリウム界に足跡を残し、残念ながら閉館してしまいましたが、そのドームシアターの跡地利用が決まったということでしたので、
「はてさて、一体どんな風になったのやら」
という野次馬根性を10%ほどと、趣味を90%ぐらいミックスして訪れたのです。何故趣味が90%かって?それは
「渋谷にガンダム出現!?(写真2)
って言われたら行かないわけにはねぇ・・・(笑)。

写真1

 


写真2

写真3

ホームページで確認すると1日10回上映ということだったので、
「1時間に1回くらいはやっているのだろう」
と見当を付け、上映時間を確認せずに行きました(写真3)。 どうやら10時から20時まで、1時間毎に投影を行っているようです。ところが行ってみてびっくり!12時からの回を見ようと行ったのですが、上映15分 前だというのに、お客さんが10人ぐらいしかいない・・・入場開始時刻になっても20人、投影開始時間でも30人。座席は見たところ120席ほどはあるよ うなのにがらがら。大丈夫なのか?採算は採れているのか、E-Field!?

 話は前後しますがこのE-Field、プラネタリウムのドームを活用して科学にまつわる実験的な作品を上映するのが目的らしいのです。ちなみにE-FieldのEは、エンターテイメントのEだそうで、パンフレット(写真4)にも書かれているように
「様々な技術や技法を積極的に取り入れ科学とエンターテイメントの融合した新しい形の場」
を目標にしているそうです。科学エンターテイメント番組を上映していきたいのでしょう。

写真4

 

 

 中を見てみると座席は全て入れ替えたように見える(写真5)。ジュースを置くことが出来るようになっているんです。なるほど。確かプラネタリウムの中では飲食は禁止だったはずだから、やっぱり入れ替えたんだろうなぁ・・・。
続いてドーム。これはそのままで、なーんにも変わっていません。それが証拠にほら、地上の風景がドームに残っています(写真6)。やっぱりそこまでは手が回らないんだろうなぁ・・・ま、ここはどうせ映像には関係ないところだから、そのままにしたのでしょう。


写真5


写真6

で、最初がガンダム。戦闘に巻き込まれた民間宇宙船に取り残された姉弟が真空の空間を何とか乗り切って救命ポットに乗り移り、地球に帰還するというも の。人工衛星の軌道や大気圏突入の仕方などが番組中では紹介されていて、ガンダムというよりは「ガンダムの世界観を使って科学番組を作りました」という感 じの仕上がりになっています。科学番組だと思って見ればそれなりに楽しめますが、ガンダムを期待して見に行くとチトつらい。何となく科学番組に特有の「説 教臭さ」が漂っているからなんですが。

 あと、ドーム全体を使っているのではなく、ビデオプロジェクター3台を使って、中心(メイン画面)と左右(サブ画面)で異なる映像を流している(図1)。これがかなり見づらい。視線をちょこちょこと移動させる必要がある上、同時に2つの画面でセリフが流れると聞き取ることも難しい。もうちょっと工夫する必要があるなと思いました。まぁ、私はそれなりに楽しめたんですが。今後に期待ですね。

 

E-Field公式ページ
E-Field紹介ページ

Day CONTACT2 in Nagoya After Report ~ひなたぼっこ命 VS 無責任一代江戸っ子~

タイムテーブル
 今日、7月14日は、「Day CONTACT2 in 名古屋」が催された。会場となった愛知県産業貿易館に集まったのは約50人。私にとっては3回目となるFCS(ファースト・コンタクト・シミュレーショ ン)である。やっぱり見慣れた顔が多い。他人のことは言えないけど(苦笑)。

この50人ほどは4チームに分かれ、A&Bチーム、C&Dチームでそれぞれコンタクトを行うこととなっていた。ちなみにA&BチームはAが地球(ただし 時代は不明)、Bチームが最近発見されたガスジャイアントとおぼしき天体がハビタブルゾーンにあるという「エリダヌス座のHD28185」であった (?)。C&DはDC1と同じく、宇宙船で目的の星に向かっている途中、というシチュエーションだけで、他は自分勝手に設定を作って構わないことになって いたようだ。

さてタイムテーブルであるが、これは以下のようであった。
10:00~ 設定作業
11:30~ 昼食
12:30~ 設定残り
14:45~ プレ・コンタクト
16:00~ コンタクト
17:00~ 発表
18:00  終了・解散
19:00~ 懇親会
というスケジュールで進行した。

ちなみに私はDチームで、議長は野田令子さん、苦力は山本香月さんが務めていました。

動機・人数
 これはさまざまな案が出たのだが、おおむね前回と同じ内容となった。この辺に関してはあんまりバリエーションがないのだろうか?それとも突拍子もない設定をすると後で苦労することを皆が何となく感じているのだろうか?
動機としてはすぐに「移民」ということで決着した。また母星に住めなくなってしまったから全員が移民するという設定にし、とりあえず1星系につき100万人ずつ向かわせることにした。ただし1隻の収容人数は1万人とし、100隻で船団を組むことにした。
ちなみに母星に住めなくなったのは環境汚染が深刻になったためである。二酸化炭素の増加に伴う温暖化現象、化学汚染、生化学汚染、原子力発電所爆発による核汚染。一つ一つなら対処できるが、全部が重なると対応が困難で、移民せざるを得なかったのである。
そう書くと凄く深刻な問題なのだが、
「こんなにいろいろ重なるなんて、すごくいい加減な運営をしていたとしか思えない」
という意見が流れを変えた。
「そうか、我々はいい加減で大雑把なんだ!」
この瞬間から少なくとも私の頭の中は「大雑把」という言葉で支配された。きっと近くにアプロがいたに違いない。

これだけ大雑把だと当然工作精度も低いだろう。機械なんかしょっちゅう故障するに違いない。
「そうか、だから環境が悪化して住めなくなったんだ。きっと『ちょっと原子炉が爆発しちゃいました~、テヘっ』とか『ちょっと有害物質が流れ出しちゃいました~、テヘっ』とか言っているに違いない。」
「おお、自己完結しているじゃないか!」
まぁ、おおむねこんな感じであった。

体の大きさ・船&船団設定
 大きさは50~70cm。寿命は50年程度。人生50年のでっかいネコサイズ。あ、やっぱりネコなんだ。だってほらほら苦力がホワイトボードにネコ描いてるし・・・(^^;)。
さて船の大きさは、このサイズで1隻1万人ならどれくらいの面積が必要かを計算。その辺から船の直径と全長を求めた。ただし大雑把な性格で歩留まりが悪いので、あちこちが壊れることを前提にして、安全係数を3倍ほど取った。
「こんなのをあちこちに出発させたのか~。こんな無茶苦茶をやったら資源枯渇も環境破壊もおこるわな。もしかしたらこの船団を作ったから母星が滅びたんじゃ・・・?」
「少なくとも止めを刺したのは間違いないでしょうねぇ。」

しかし、こんなに大雑把な連中がよくここまでに文明を発展させたものだと感心したが、要は中にはマメなやつもいる。そいつらが
「大雑把な奴が使っても壊れないで使える」
事を前提に、安全係数を倍ぐらい取って(つまり安全装置を増やすとか、バックアップを何系統も作るとか)設計する。でも作る連中が大雑把だから歩留まりが 悪い。よく故障する。でもそれが普通だから誰も文句を言わない。壊れるのが当たり前だと思っていて、壊れたら「運が悪かった」で片づける。
行動もかなり大雑把。10中8、9の確率で大丈夫ならやってしまう。成功率が99.999・・・%でないとダメとかは考えない。
「きっと宇宙船もちゃんと動くのからエンジンが全部ぶっ壊れたやつまでいろいろ出るに違いない。」
「だから100隻なのか・・・80~90隻は着くからOKなんだな。」
「今回は初めてのケースだから60隻でもOKかも。『40万人死んだ』じゃなくて『60万人も辿り着けちゃう』って発想なんだろうなぁ。」
「前向きだねぇ。」
この恐るべき大雑把で前向きな船団は、出発時刻のずれとエンジンの故障率から、最初の船を皮切りに7~8年後くらいにピークを持つ分布で到着することになるはずだ。ちゃんと計算はしてないけれども。

さて船であるが、遠心力による疑似重力を発生させるため、直径1km、長さ1kmのチクワ形で、チクワの底には放物面鏡を持つ。その後方にエンジン部が突き出している。つまり口径1kmのシュミット式望遠鏡にエンジンを取っつけた様な形である。
エンジンが奇跡的にトラブルを起こさず、トップで星系に着いた我々は、惑星系の外縁部(イメージとしては3光時程度だが、先に1光日と言ってしまって物 議を醸しだした)でほぼ減速を終え、その後4日間は慣性飛行状態で観測をして、その後3日で第2惑星衛星軌道上にて停止(正確には衛星になる)という方針 で行動することに。
観測結果はすぐに後方の船に伝えられ、ここに移民するかそれとも再び別の星系を目指すかを決めるための情報となる。もちろん我々も、ここに住めるという保証はないので、ガスジャイアントに補給しに行けるだけの燃料は残すという前提だ。

さぁ、これで我々の行動方針は決まった。あとは外見とメンタリティーの詰めだけだ。何となくネコ型で大雑把な性格の様な気がするが・・・ああ、再びホワイトボードに「気のせい」であるというネコが・・・(^^;)。

外見・メンタリティー
 すでに我々の頭の中は「アプロ」に支配されていたが、一応一人一つずつ様々な事例を出してみた。曰く「旧ソ連」だの、「中国人海戦術方式」だの、「裏長 屋の魚屋」だの、「江戸っ子」だの、「植木等」だの・・・。当然「アプロ」というのもあったが、最終的に多数決で決まったのは
「無責任一代江戸っ子(爆笑)」
または
「江戸っ子な植木等」
であった。つまり行動指針は
「そのうちなんとかなるだろう」
「だまって俺についてこい」
「そんなのは粋じゃねぇや!」
である。何とも楽観的で刹那的なことか。思いついたら即行動、ケンカっぱやいが根に持たない、個人主義的で文化は華やか。みんながみんな、思い思いに歌舞いている。一体どんな集団なんだ?

これでネコ型なら確実にアプロもどきだが、外見に関してはどちらかというと「サバクトビネズミ」みたいな感じになった。2本の足を軸に、頭としっぽでバランスを取り、全身が白~茶の毛むくじゃら。目と耳は見えるが、鼻・口は毛で埋もれている。
大きな身体的特徴としては2肢しか持たないことであろう。体から出た足は膝、足首続き、その先は蹄になっている。が、そこで終わらずさらに上方へ伸び (つまり足首が肘でもある)、5本の指を持つ手がついている。なお、5本というのは明確には決められていなかったが、相手先に通信を送る際に描いた絵に5 本の指を描いたので、5本なのである。

その他、視覚は人間とほぼ同じであり、音声による会話を行う。胎生で雌雄の別があり、50年の一生の間に5~6人(?)の子どもを産む。この子ども達を コミュニティー内で育てているので、血縁よりは知縁を重視する。ただし歩留まりの悪さはここでも健在で、生まれた子のうち何人かは死んでしまう。

なお、我々は自分たちのことを「テモテ」と呼んでいる。これは我々だけがこの星で唯一作業肢(ある関節から先を作業肢とした)である「手」を持つに至った事から、「手持ち」をなまらせてこう呼ぶことにした。

プレ・コンタクト
 我々はこの星に向かったテモテ船団のトップを切っている。我々の使命は後続船団にこの星の情報をより多く、正確に伝えること。もちろん未知の危険が待っ ているかも知れないが、それに伴ううまみもある。すでに我々の頭の中は最も大きい湖で海水浴を楽しむことに集中されている。建設する住居の区画割りなんか も楽しみの一つだ。
ところが!減速して観測を始めてみると、あらびっくり。何と第二惑星に何かいるようなのだ。しかも衛星軌道上には宇宙船らしき姿があり、地上と定期的にシャトルが行き交っている。
「じいさん、ウソつきやがったな!誰もいない新天地っていう話だったじゃねぇか。」
しかも彼らは一番大きな湖に陣取っているようだ。何やらその湖だけが緑色をしている。だが夜になるとその緑は消えてしまう。一体何なのだろうか?仕方がな いので、とりあえずその湖を「Midori湖」と命名した。Midori湖の周辺にはどうやらエネルギープラントやシャトルの発着場があるらしい。残念な がら我々がそこで海水浴を行うという計画はご破算になってしまった。全員が大変がっかりしたことは言うまでもない。もっとも苦力だけは
「異星人がいるんですよ。何とも思わないんですか?!」
と叫んでいたが、我々の返事は
「いや、だから、一番大きな湖を取られてがっかりだって」
であった。しかしもともと大雑把な我々はそんなことではめげない。
「残念だけど、先輩がいるんだなぁ、あの星には。ま、挨拶しとくか。」
軽いノリで499までの素数と、499×499で描いた我々の姿、そして第二惑星まで行くよ、というメッセージを送った。返事が返ってきたら今後の行動に 修正が生じるかもしれないが、何もなければまず第二惑星の衛星軌道まで行って、そこから再びメッセージを送ることにした。ついでにガスジャイアントに探査 プローブを3機ほど送っておいた。

相手からの返事が届いたのは衛星軌道上に辿り着いたときだった。しかも我々のメッセージを返してきただけ?としか思えない内容。
「うーん、来るなとは言ってないし、敵意がないことだけ言って、地上に降りて基地作ろっか。」
そんなわけで、再び挨拶と地上に降りる旨連絡し、この星で2番目に大きい湖の畔に基地を建設し始めた。この湖は「Hitoshi湖」と命名した。最初に降 りた連中は3日も宇宙服を着ていることに不平たらたらだったが、まぁ無事に建設も進み、多くの人員が地上に降りた。当然海水浴も楽しんだ。
と同時に、Midori湖の異星人とのコンタクトも電波を通じて行っていた。そして3ヶ月も経つ頃には、それなりに意志疎通が出来るようになっていた。
そこでMidori湖とHitoshi湖との間にある小さな湖の湖畔でコンタクトをすることにした。ようやくお隣さんにご挨拶が出来るわけだ。

コンタクト
 選ばれたコンタクト要員3名は、ヘリで会談場所に向かった。この様子はテレビカメラを通じて基地や船にも送られている。が、相手が時間を夜に指定してき たため、暗視カメラなどの機材が必要になり、撮影班からはちょっとだけ苦情が出た。また3名の選出方法に納得のいかなかった連中や野次馬連中が、会談場所 から1kmほど離れたところで聞き耳を立てていた。

さて、ヘリから降りてみると2mくらいの緑色のものが待っていた。これがコンタクトする相手らしい。よく見えないし、カメラの映りが悪いのでライトで照らしたら、ちょっと広がった。変わった連中だ。
まず我々はゼスチチュアで挨拶をした。反応がない。仕方がないので
「こんばんわ」
と言うと
「こんにちは」
と返事が返ってきた。どうも勝手が悪い。しかもその後「居住範囲問題」や「魚の放流問題」など、いろいろ交渉をするも、どうもやっぱり反応が悪い。やたら とのんびりしている。交渉なんて面倒なことはちゃっちゃと終わらせて宴会モードに突入したい我々としてはイライラさせられる展開だ。どうやら光合成をする 生物で、寿命が1000年ほどあるから、のんびりとしているようだ。それなら仕方ねぇな。
結局「居住範囲問題」は彼らが海に我々が陸に住むこと、そして母船から魚の3次元CADデータまで送ってもらった「魚の放流問題」は我々が独自に生け簀 を作ることで、相手が検討に入った。返事まで5年くらい考えさせて欲しいらしい。まぁ、その間に我々の後続船団が到着するけど、いいか。
こちらも出来る限り環境を汚染しないこと、鳥を放さないこと、魚が海に逃げ出さないことを条件に、このHitoshi湖周辺で暮らし始めることにした。やっぱり先に住んでる先輩には配慮を欠かしちゃいけない。彼らからは
「母星はどうなったのか?」
と尋ねられたが
「いろいろ不幸なことがあったんだ」
と答えるのにとどめ、
「10年ぐらいかけて説明しますよ」
とだけ返事をした。相手に合わせてあげるのも”粋”ってぇもんよ。
そうそう、最後に彼らから遺伝子工学関連で、寿命に関する基礎データ提供の申し出があった。寿命を延ばす方法を研究しては?という申し出だが、何人が興味を示すことやら・・・だらだら生きてても仕方ねぇしなぁ・・・
こちらも彼らの体にボディペイントをする技術を開発することにした。何でも超音波でわかる絵を体に描きたいらしい。もちろん光合成に必要な波長は遮らな いものでないといけない。これにはうちの連中が何人か興味を示した。何しろ直径100mも塗りたくれて、しかも1日で消えてしまうと来たもんだ。これが粋 な芸術だぁな。

反省会
 前回の「ヒュンヒュン」と「ワ・レワレ」に続いて、何とツボを心得た演出、いや設定だろうか!思い立ったら即実行という我々「テモテ」に対し、寿命1000年、のんびり構える「フウセンクラゲ(仮称)」。
これでは話のテンポが全然合わない。まぁ、向こうが考えてくれている間に、こっちは勝手に物事を進めてしまうというという展開となった。この惑星上での 様々な活動も同様だろう。人間とチーラほどではないが、これだけ思考速度に差があるといろんな意味でしんどいものですね。
さてその後のことだが、おそらくテモテは衛星軌道上にエネルギープラントや化学プラントを建造し、「フウセンクラゲ」に迷惑がかからないように注意するだろう。だが、
「あ、魚逃げちゃった」
とか
「鳥逃がしちゃった。ゴメンね」
とか
「ちょっとプラントが衛星軌道から落ちて来ちゃった」
とか言いそうな気がしてならない。悪気はないし誠実でいいヤツなのだが、ぜんぜん信用が出来ない連中である。困ったものだ。(って、設定したのは我々ですが)

 

テモテ側 野田令子さんのページ

Day CONTACT1 in Nagoya After Report ~箱入り娘 VS ナンパ野郎~

タイムテーブル
 今日、4月14日は、「Day CONTACT1 in 名古屋」が催された。集まったのはこの手の話が好きな30人。私にとっては2回目となるFCS(ファースト・コンタクト・シミュレーション)である。
この30人が2チームに分かれ、お互いに自分たちの世界、世界観、コミュニケーション手段、宇宙の乗り出した理由を設定し、とある惑星上でコンタクトをする、という内容である。
タイムテーブルは9:30から受付が始まり、10:00から会長挨拶、趣旨説明、会場での注意事項が話された。10:30~11:30で自分たちが宇宙 に乗り出した目的、基本的な生物像を構築、11:30~12:30が昼食、12:30~13:00で自分たちの外見、その後14:00までかけてコミュニ ケーション手段やタブーなどの設定を行った。14:00からはお互いに通信文のやりとりをし、15:00からは直接コンタクト(出来ればいいなぁ)、その 後16:00頃からお互いの世界を発表する反省会、という形を取った。あ、あと最後には当然懇親会が待っていたが。

動機・人数
 さて、10:30から実際にお互いが分かれて世界構築を始めたわけだが、我々のチームでの「宇宙に乗り出す動機」は「社会から迫害された(と思ってい る)科学者達」ということになった。具体的には、この世界では「宇宙、特に恒星間に乗り出すことは宇宙の汚染に繋がるので、やってはいけない」という考え 方に支配されているとした。その中で知的好奇心を持つ科学者の一部は迫害され、この星を出ていくために恒星間宇宙船を建造し、母星に戻るつもりはない、と いう設定とした。他には以下のようなものがモチベーションとして考えられていた。
移民、学術研究、資源探査、交易、観光、本能、仕事(TV特番、映画)、公共事業、(宇宙船を飛ばすこと自体が目的)、犯罪者を追跡、宇宙船事故、私は逃亡者。

そう言う意味では「私は逃亡者」が選択されたわけだが、社会から迫害されたために逃げ出した科学者達という選択肢以外には、
1)選民思想を持つ人々
2)政治闘争に敗れた思想犯
などもあった。ある意味では無難なところに落ち着いたとも言える。

次に逃げ出した人数であるが、これはコールドスリープなどの技術的支援があるかどうかは別として、冬眠をする陸棲の種族で、さらに普段起きているのは 20人程度だが、宇宙船全体では1000人程度が脱出した事にした。こんな状態だから宇宙船は1隻だけしか建造できないであろう、ということだ。

外見
 さて我々の外見だが、これは「人間よりも低い!」というのがみんなの一致した意見であった。そのため様々な検討結果から身長70cm、体重10kg程度ということになった。丁度机の高さくらいが良いのかねぇ、というわけだ。
そしてベースとなる生物として「クモザル」が挙げられた。何のことはない、何か物を掴んだり出来るしっぽが欲しかったのだ。しかもしっぽの位置もお尻ではなく、頸の下、肩胛骨の上あたりとされ、長さは「ダランと垂らした時に地面につく程度」となった。
さらに話は続く。続いてしっぽの先に触覚以外の感覚器を付けたい、という話が持ち上がった。そこで光、赤外線系の光学センサーか、それとも嗅覚・味覚の 統合された化学センサーのどちらにするかで投票が行われ、後者が取り付けられた。これにより相手を「味」で判別できるようになり、場合によっては相手の体 調もわかるんじゃないか、という話も出てきた。これは後ほどのコミュニケーションに大きく関わってくる。
最後に表面はどうなっているかが検討された。けっこう奇抜なものが提案されたが、最終的に採用されたのは「ハリネズミのような針で覆われている」であった。色は赤褐色。
ちなみにボツネタは「毛」「鱗」「角質層」「人間のようなソフトスキン」などがあった。あと「鱗粉」というのもあったが、さわると手が粉っぽくなると か、半導体が作れないのでは、という意見が出てボツになった。これは「構造色」になっていて、見る角度によって色が変化して見える、というネタから発展し たものだった。
こうして我々の外見が決定された。しかし一体どんな進化圧を受けたら、こんな知的生命体になり得るんだろう?不思議だ。


生態・コミュニケーション手段・タブー

 樹上生活であるからして、音でコミュニケーションを取っているであろう、とされた。設定としては「声帯が弱くて大声を出せないので、楽器を使うことにより意志の疎通を図る」ということになった。つまり楽器は人間で言う「印刷術」にも匹敵する大発明だったのだ。
生態であるが、卵生であり、産まれた卵は管理するが、孵化した後に生き延びられるかはその個体の生命力に任されることとなった。つまり弱い個体は早期に 死んでしまい、より強い個体だけが生き残るのである。そして生き残った個体には、コミュニケーション手段である楽器が手渡されることとなった。
しかしこれでは楽器が手渡されるまではどうやってコミュニケーションをするのか?が問題となる。また両性具有とされたため、誰が子どもの面倒を見るの か?も議論された。その結果、かなり大きな家族集団(20~30人)を取っており、子どもは家族全体で面倒を見ることに。その中では身振り手振りで意思の 伝達が行われ、もっと親密な場合にはしっぽの先端を絡ませあうことで、意志疎通を図ることにした。

ここからコミュニケーション手段が整理され、最終的に決定されたのは
1)大変親密な間柄ではしっぽによって単純な情報伝達が行われる。
2)友人レベルであれば身振り手振り(踊り)によって意思が伝達される。
3)他人の場合は楽器による音(音楽)で情報伝達が行われる。
4)情報の記録には楽譜が用いられる。
などとなった。
さらにタブーも設定された。当然の事ながら、「知らない相手のしっぽを触ること」となった。大変失礼なことであり、ある意味「セクハラ」だということになった。
しかし気がつくと「知らない人との間ではピープーと音楽を演奏し、友人や家族との間では踊りまくり、恋人や夫婦間では尻尾を絡めて黙っている」という、 奇妙な世界が出来上がっていた。しかも「嬉しいとき」だけではなく、「怒ったとき」も「泣いているとき」も小躍りするのだから、油断の出来ない種族だ。

その他の設定
 コンピューターの発達に伴い、普段はシンセサイザーを使っている。その音色は個体別に異なっており、それを思い思いにチューニングする事が個性を主張す る事にもなっている。また生楽器はほとんど使用されていないが、フォーマルな場では生楽器を使用することが礼儀であるとされている。これらのため、彼らは 服は着ていないが、普段から楽器を着て生活している。
またしっぽは普段肩にかけられていて、どちらにかけるかによって、その個体の利き手(?)がわかる。あと残った設定として、彼らは自分たちの種族のことを「しっぽが風を切る」音から「ヒュンヒュン」と呼んでいる。
以上のようなことが決まった。

プレ・コンタクト
 14:00から通信によるプレ・コンタウトが始まった。それに先立つ状況を説明すると、我々が目標としている星系の第2惑星軌道上に異星人の宇宙船4隻 を、さらに第4惑星に向かいつつある宇宙船1隻を発見した。我々にとって、ショックが大きかった。何故なら、ここには過去の観測から知的生命体は存在しな いと考えられていたからだ。
「原住民がいたのか?もしかして我々が母星を離れて120年。その間に電波を使い始めたのだろうか?」
「いやいや、もしかしたら別の星系から来ているのかも・・・」
我々は各惑星の地表をくまなく走査することにした。同時に既に減速フェーズに入っており、1ヶ月ほどで第2惑星に到着してしまう。当然相手からも逆噴射 の光は見えているはずだ。敵対行動を取るつもりはないことを相手に知らせなければならない。我々は通常のコンタクト手順である「素数列」「四則演算記号・ 論理演算記号」「元素周期表」をデジタルと我々の音楽とで発信した。音楽はAM変調により送ることとした。
音楽を送ることに対しては異論もあったが、1ヶ月という短期間しかないため、相手の警戒心を和らげるための努力は惜しむべきではない。情報は出来るだけオープンにしようということで、送ることにした。

相手から返事が返ってくるまでの間に、各惑星の表面の様子が明らかになり、どこにも文明の痕跡はないという結果が出た。つまり彼らは原住民ではなく、他 の惑星系からやってきていたのだ。しかも宇宙船5隻で!きっと彼らの母星にはもっと数多くの宇宙船があるに違いない。我々の敗北感は高まった。何とか穏便 に第2惑星の端っこを分けてもらうのだ。もしそれが出来なければ、我々は再び別の星系を目指すしかない。

しばらくして相手側がなにやら行動を開始した。第2惑星の軌道を巡る4隻の宇宙船が発光信号を送り始めたらしい。だがいくら解析しても何のメッセージであるのかはわからなかった(あとでわかった話だが、ただのネオンサインだったらしい)。
それに続いて返事が返ってきた。周期表の中でタンパク質を作る記号だけをチョイスしたものが届いたのだ。どうやら炭素系生命らしい。しかし何故これだけを送ってきたのだろう?もしかして我々を食べるつもりなのか?憶測が飛び交う。
さらに、我々の音楽がなにやら変なアレンジを加えられて返ってきた。早速聞いてみるが、全く意味をなさないモノになってしまっている。一体何なのだろう、これは?どうやら単なる音としてしか認識されなかったようだ。

しかし第1段階としてはまずまず成功なのだろう。さてでは次はどうするか・・・取りあえず適当に距離を置いて、交信を続けることにした。問題は我々の船をどこに泊めるかだが、よくわからない相手とはまず音楽でやりとりをしたい。そこで
1)第6惑星付近
2)第3惑星付近
3)第2惑星と恒星の作るラグランジュ点
が候補として挙げられ、最終的には3)が選択された。早速相手に対してその旨、メッセージを送る。
だが、返ってきたのは「第2惑星に来て欲しい」というものだった。それも4隻の宇宙船からではなく、地上からである。
「これは罠だろうか?」
しかし罠と決定づけるだけの決め手もない。母船はラグランジュ点に向かい、着陸船のみを第2惑星に送るという提案もあったが、「相手の機嫌を損ねたくな い」という理由で、母船で第2惑星に向かうことにした。とはいえ停泊したのは静止軌道の3倍の距離であり、そこから着陸船で地表に降りることとした。同時 に次の運行当番を起こすことにした。

コンタクト
 着陸船には志願した者だけが乗り込んだ。いわゆる「決死隊」だ。なにしろ相手は何を考えているのかわからないのだ。いきなり食べられるかも知れない。だが、出来る限りの礼節を保つべく、全員が生楽器を着ていくことにした。
そして着陸。決死隊から送られた画像を見て、我々は息をのんだ。おおよそ単一種族とは思えない、多様な形をした生き物たちがそこにいたのだ。羽を生やしている者があれば、角を生やしている者、大きさも1mからもっと大きいのまで様々だ。
「もしかしていくつかの混成種族か?」
とも思った。だがどうやら同じ言葉を喋っているらしい。
決死隊は勇気を奮い立たせて大地を踏みしめた。そして我々の挨拶を音楽と踊りとで送る。相手が喜んだ(ように見えた)。そして次々と近寄ってきては「ワ レワレ~、ワレワレ~」と言っている。何の事だかわからない。しかも音を鳴らす者、点滅している者や濡れてくる者までいる。
「一体何なんだ、こいつらは?!」
しかも油断すると触ろうとするし、呆気にとられている者は、どこかに連れて行かれようとする。しかも不躾なことに彼らはしっぽを触るという蛮行に出た。
決死隊はパニックを起こし、全員慌てて着陸艇に逃げ帰った。
「もう帰る!」
と泣き出す者までいる始末。これは大変なこととなった。

軌道上に残った者は次第に落ち着きを取り戻し始めた決死隊と協議し、相手に触られた者の体から得られるDNAサンプルを解析すること、相手が流し始めた 何か(情報、おそらくは彼らの言語を伝えるもの)を解析すること、を決死隊が行い、その間に船は燃料補給を行うこととした。
そして船が帰ってきたときには、決死隊は相手の言葉を理解し、話が出きるまでになっていた。そこで、我々は再び相手との対話を行うこととした。ただし今度は着陸船から出ず、スピーカーを通じてである。
その結果として、
1)どうやら相手は単一種起源で、体を改造している間に多種多様な外見を持つようになった
2)第2惑星にはそんなに長く留まるつもりはなく、我々がドーム都市を建設したり、テラフォーミングを行っても別段問題がない
3)他の種族の体の一部を遺伝子レベルで組み込むことが好きで、我々の遺伝子を欲している
などがわかってきた。
折角なので我々のや動植物の遺伝子サンプルを提供する事にした。ただし、相手は我々との直接交配をしつこいほどに求めてきたが、
「将来的にそう思う者が出てくるかも知れないが、いまはまだそういう者はいない」
とだけ告げた。彼らの中の一人が
「今度は我々の大きなベッドも是非見に来てください」
という言葉を最後に対話は終了した。

反省会
 どうして同じような条件設定で始めたのに、隣の部屋と我々の部屋ではこうも異なる異星人となったのだろう?不思議で仕方なかったし、相手についてはわからないことだらけだった。
だがここで謎が解けた。彼らは知的好奇心が文明を発展させた我々と異なり、「如何にして自分の体を変化させるか」「如何にして突然変異するか」を文明化 の原動力としていた。そしてこの惑星にも「ハネムーン」に来ていたらしい。我々は今まで見たこともない新しい遺伝子資源であり、交配することにより変化し た子孫を残したかったらしい。

今回のFCSは「出会い系イベント」であったが、某スタッフの言葉を借りれば
「厳格な親に反発して家出した箱入り娘 VS 女の子といいことする気でアパートに部屋借りたばかりの派手な格好のナンパ野郎」
ということだったようだ。その後行われた懇親会はお互いが使わなかった(使うところのなかった)裏設定の交換会となったことを伝えて、筆を置きたいと思います。

 

ワ・レワレ側 小川一水さんのページ
ヒュンヒュン側 渡部義弥さんのページ
ヒュンヒュン側 野田令子さんのページ
ヒュンヒュン側 湯川光之さんのページ

CJ4アフターレポート ~Dチームの戦い~

1.遭遇
 西暦2050年1月。人類は初めて異星人からのメッセージを受信した。それは核融合エンジンを使った可視光モールス信号とも言うべきものであった。この 技術に驚嘆した人類は、早速コンタクトを行うため、太陽系開発機構(SSDO)の下部組織として異性文化交流委員会(ETCEC)を設立。コンタクトのた めの準備を始めると同時に、国連宇宙軍(UNSF)が「抜け駆けコンタクト」防止に全力を注ぐこととなった。

2.第一印象
 西暦2051年1月。前年から送られてきたいた友好メッセージの後に、いきなり足し算の三択問題を2問受信した。次いで2052年1月には後に問題となる「第4メッセージ」を受信。しかもこれが意味不明であったため、
「何となく高飛車な異星人だな。もし第2、第3メッセージが足し算なら、こっちの知的レベルを測っている、という事だろ?普通、友好メッセージの後にいきなり知能テストを送ってくるか?」
という印象を持つ。
それもあってか、我々は情報を出し惜しみすることに決定し、友好メッセージを返さなかった。これがのちのち問題になってくるのである。
取りあえず、第4メッセージの意味が全く分からなかった我々は第2、第3メッセージが足し算であるかどうかも自信がなくなり、これを確認すべく、第2、 第3メッセージが足し算であった場合の正解と、新規にもう一問、足し算問題を作成して返信。第4メッセージは返事を保留した。
上記の返答を2052年1月からまず電波で送信し、続いて6月からは完成したばかりのレーザー送信設備を使用して可視光線による送信を開始した。

3.問題の第4メッセージ
 さて、この第4メッセージについて我々が議論した様々な可能性について、ここで語っておきたいと思う。
出ていた可能性として最も可能性が高いと思われていたのは「DNA説」である。あの形が二重螺旋に見えるというものであった。この説はもちろん、後から考えてみれば正解だったわけだが、「じゃあ、どう解釈するのか?」が問題となり、結論は出なかった。
他には、前2問が足し算であったことからして、何らかの数値演算ではないのかという可能性が検討された。かけ算、割り算などである。しかしどのように解釈しても解けそうにはなかった。特に3つ目の選択肢枠に何も無いのが理解できなかった。
いずれにしてもこの返答が大変な意味を持つに違いないことは理解できた。次第にDNA説が優勢になるにつれ、
「『食べても良いですか?』じゃない?」
「いやいや、『寄生してもいい?』かもよ。」
「『交配しましょう』だったらどうする?」
「どれが?」
「・・・・・・・」
という議論が進展していった。少なくともここで出てきた3つは、みんなどれもイヤだったので、もっと慎重に情報を集めてから返答をすることにしたのだ。

4.プローブ発射といやがらせ?
 西暦2053年1月。相変わらず第4メッセージは流れてきている。しかし、我々には質問の意図が分からないため、取りあえずは無視し、完成した探査プ ローブ「スーパー・ボイジャー」を送り出した。予定通りであれば2060年に到着、2061年には相手宇宙船のイメージを得られるはずだ。一応スーパー・ ボイジャーには可視光線カメラ、赤外線カメラ、レーダー、レーザー送信機、X線検出器が搭載されているため、宇宙船の姿以外にもレーダーによる形状マッピ ング・データも得られると期待されている。
翌年、第4メッセージが止まり、全く情報が流れなくなってくる。こうなってくると我々には打つ手がない。しかし、ここで
「これまでは相手に主導権が握られっぱなしではないか。ここで我々のペースでコンタクトを進めるための手順の開発を行い、ついでに礼儀を知らない異星人に、礼儀ってやつを教えてやろう!」
という意見が出て来たので、数値の表し方と四則演算・論理演算記号を開発。例題をつけて送信することにした(表1及び図1)。
まぁ、ここまでは普通なのだが、少しやりすぎたかなと思ったのは(どうやら後々相手の気分を害したらしい)、数値を1から1000まで計1000枚、そ れぞれの例題というかなんというかを100問ずつ送りつけた事であろう。四則演算各100問、真偽判断100問、疑問符100問で計600問。トータル送 信枚数、なんと1600枚!要は小学校の夏休みの宿題に出てくる算数ドリルを送りつけた様なもんである。もちろんこの新プロトコルを用いて、ちゃんと第4 メッセージに「?」をつけたものも送った。
ちなみに演算記号は3×3ドットの記号を基本とし、表1のようになっている。特に「?」はカタカナの「ト」の形に似ていることから、我々はこの後質問をするときには、首を傾げて「ト?」と言うようになった。

5.平穏なひととき
 西暦2055年から2057年までの3年間は、平和で、まっとうなコンタクトが行われていたと考えて良いであろう。
2055年には最初の質問に対する返答があった。どうやら第2、第3メッセージは足し算でよいらしい。しかしすると第4メッセージは?相手からは返事を 催促するかのように、再び第4メッセージが送信され始めた。と、同時に何か(おそらくは相手側のプローブ)が発進、地球をフライバイする旨が送られてき た。プローブと判断した理由としては、相手の宇宙船が移動した様子がないこと、さらにはフライバイである以上、もし宇宙船本体であっても、特に脅威とはな らないであろう、という判断があった。我々はプローブのフライバイに関してはOK、第4メッセージは「├」を再び送信する。
翌2056年、我々は嫌がらせとも思える「あの」ドリルの答えを受け取る。どうやら理解してくれたらしい。
「これでこちらのペースでコンタクトが出来る」
と一同の顔に満足げな笑みが浮かぶ。
同時に第4メッセージが再びやってくる。どうやら本当に重要らしい。しかしわからないものは返事のしようがないので、取りあえず
「こちらのプローブが2060年に到着に到着すること」
「年と大きさの単位」
「そちらのプローブ到着は何年か?」
を送信し、第4メッセージはひたすら無視する。
さらに翌2057年。彼らに関する詳しい情報が全く存在しないことを鑑み、彼らの背後に「グルームブリッジ1618(以下GB1618)」が存在するこ とから、両者の関係を質問すると同時に、軌道天文台を動員してGB1618の集中観測を開始した。その他周期律表と我々の体を構成する元素の一覧を送り、 相手がどのような元素で出来ているのかも質問した。また、小惑星帯に観測施設を増設し、レーザーの送信設備も強化した。
しかし、そんなゆったりとしたコンタクトに一石を投じる出来事が、同年12月末に発生した。何と、質問を送っていた相手プローブがフライバイしたのである!ここから狂乱怒濤のコンタクトが始まろうとは、誰も予想できていなかった。

6.コンタクト・ベース建設開始
 西暦2058年。相変わらず第4メッセージは届いている。と同時に、異星人の宇宙船から地球に向けて伸びる一本の線が入ったメッセージ。
「え?これは地球を訪問したいと言うこと?」
我々は慌てた。相手の目的もわからない。第4メッセージの意図もわからない。相手の母星も生態も何もわかっていないのである。こんな状態で訪問されても、 こちらは何の対処も出来ない。さらに付け加えて言うなら、もし侵略の意図があったら、いやそこまで言わなくても地球に彼らが住み着き、我々のテリトリーと 重なって問題が起こったら・・・
この時彼らからは彼らの姿、大きさ、二重螺旋のDNA構造らしきものが描かれたメッセージも受け取っていたので、もしかしたら同じ様な代謝機能を持って いるかも、という判断が成り立ちつつあった。一応DNAらしきものが地球人と同じであるかどうかを問い合わせるべく、我々の体を構成している物質の一覧を 元素周期表とともに送信する。あとは「来訪したい」というメッセージに対する返答だが・・・
「さすがにいきなり地球に来られるのはまずい。どこか別の場所でコンタクトを行うべきだ。」
委員会の意見は一致した。候補は木星か土星(冥王星という話もあったが)であったが、現状の設備や生産能力を考慮した結果、木星軌道上にコンタクト基地を 建設。そこでファーストコンタクトを行うことに決定した。そして「木星軌道上でコンタクトを行いたい。地球まで来ずに、そこで止まって欲しい」という旨の メッセージを送信する。もちろん絵だ。
同時に「いざ」という時の対応も議論された。もしそういう場合に陥ったときは、木星コンタクト基地を爆破、もしくは木星に突入させてしまう。というもの だった。同時に異星人の宇宙船がコンタクト基地に近づかなかった場合を考慮して、コンタクト基地周辺及びガリレオ衛星にレーザー砲台の建設も始める。この 場合、保険は多いに越したことはない。使わなかったら太陽系内のレーザー推進ネットワーク用に整備し直せばいいのだから。
ついでに報告すると、ここで彼らの愛称が決まった。
「この絵(図2)って、王監督の顔に似てるよね。」
「じゃあ『王星人(わんせいじん)』か。」
「そういや王監督って、昔ナボナのコマーシャルに出てたね。」
「よし、『ナボナ星人』だ!」
「『ナボナ星人は宇宙のホームラン王です』ってか?」
平和な一コマであった。

7.プローブ、軌道変更
 明けて2059年、プローブの到着まであと1年と差し迫ったところで彼らの母船は1AUほど移動した。これではプローブは宇宙船に接触出来ない。しかし 減速用の燃料を使い、すぐに方向転換を行えば、フライバイは出来る。フライバイが出来れば宇宙船の姿だけは捉えることが出来る。
問題は方向を変える命令を送るかどうかだった。これは異星人が「何故宇宙船の場所を移動させたのか?」がわからなかったことによる。当然委員会では様々な意見が出た。
「GB1618との関係を否定するため」
「(見られるとまずいものがあるので)自分たちの船を見られたくなかった」
「いやいや、実は背後に大移民船団が隠れていて、それを見られたくないので陽動で動いた」
などなど。
ここで再び相手の来訪目的が議論の的になった。どうやら体を構成している元素もほぼ同じようだ。しかしあの姿は?もしかして水棲、しかも卵生ではないの か?とすれば地球来訪目的は移民なのではないか?そこまで議論が進んだとき、委員会は大移民船団を警戒する決定を下した。だがそのまま直進させて移民船団 がいなければ、相手の姿を捕らえることすら出来ない・・・
結局プローブは軌道を変更し、移動した宇宙船へのフライバイを試みることとなった。もし相手がそのままフライバイを許せばGB1618との関係を否定し ただけだったのだろう。だがもし再び位置を移動し、元の位置に戻ったならば、それは移民船団の存在を示唆するものかも知れない。プローブを2機打ち上げな かったことが悔やまれたが、もうそんなことを言っていても仕方がない。これは我々にとっての教訓となったのだ。
しかし相手の意図を知ることは重要な要素であることには違いはない。そこで論理演算までは共通基盤が出来上がっているので、今度は名詞と動作を表す動詞 を辞書として送る。ただし動詞は異星人側との動画のフォーマット及びプロトコルの仕様を決定できていなかったので、止むなしに2枚の連続静止画で代用し た。
また、彼らの故郷として「うみへび座βⅡ(以下HyaβⅡ)」が急浮上してきたため、GB1618に向けていた観測網をHyaβⅡに変更。さらに20光年以内にある惑星系の観測を強化した。

8.デフコン2発令!
 西暦2060年、いくつかのメッセージを受信したが、今度は我々人類と彼らが向かい合って何かをしてる画像が送られてきた。話し合いか?それとも・・・
「食べてもいい?って聞いてるんじゃない?あのお腹って口みたいに見えないこともないし・・・」
という意見も飛び出したが、そんなのは平和な解釈が出来るメッセージであった。
何と彼らは木星でのコンタクトを拒否。しかも地球上での共存と思えるものと、どう見ても地球を明け渡すよう求めているとしか思えないメッセージを送信してきた(図3)。地球に一緒に住まわせてもらうか、もしくは地球から出て行けと言うのか・・・
「やっぱり移民だ。しかもこれは侵略だ!」
ここにきて委員会はデフコン2(臨戦態勢)を発令した。異星人にはこの提案を拒否、木星でコンタクトしたいとする旨のメッセージを送信すると同時に、人口はどの程度なのかという問い合わせをも発した。相手の数が1万人と10億人では全く対応が異なるからだ。
同時に、太陽系内の防衛網を強化するべく、急いで地球及び火星の衛星軌道上に十数基のレーザー砲台群、通称「アルテミスの首飾り」の建造を開始した。宇 宙艦隊構想もあったが、先のプローブの性能からおそらくまともな艦隊戦などは不可能であろうと判断。何かあった場合には水際で叩くことにしたのだ。
さらにスペクトル観測からHyaβⅡを巡る惑星に水蒸気の存在を確認した。どうやらここが彼らの故郷らしい。だが、彼らが水棲であるほど水が豊富なのかどうかはわからなかった。
とは言え、この年、人類と異星人とのファーストコンタクトは急転直下の展開を見せ、一触即発とも言える状態に変化した。

9.辞書交換、そして和平の模索
 このように、委員会内からはハト派がほぼ一掃されてしまったが、一縷の望みを残してはいた。
「もしかして彼ら一流のジョークか、我々が相手のことを理解できていないことに端を発する誤解ではないのか?」と。
だが、プローブが相手の映像を捕らえたであろう2061年、彼らはこの期待を裏切った。いや、地球人は「裏切られた」と感じたのだ。
彼らは姿を見られないよう最初に移動したのと同じ方向に、さらに1AU移動。 「やっぱり大船団が?少なくとも彼らは見られたくない、またはこちらとの普通のコンタクトは望んでいないのでは?」
という憶測が飛び交う。肝心のプローブも目隠し同様に全ての情報発信・受信機能を殺された上、相手に拿捕されてしまった。当然我々の技術レベルも完全にバ レたことになる。もっとも急造の寄せ集めプローブであるから、若干旧式であるし、完全に情報を把握されたわけではない、と自らを慰める。
だがそれだけでは終わらなかった。彼らは「8年後に到着する」というメッセージの送信と同時に、地球に向かって移動を開始したのだ。こちらも慌てて、再度地球来訪拒否と木星でのコンタクト要請を発信。
少し時間が経った。我々の頭に昇っていた血も少し下がったのだろうか。それとも一旦休憩して食事をしたのが良かったのだろうか?(実際、ここで3日目の食事タイムが重なった)
「我々は相手のことを何も知らないに等しい。迎撃体勢に関しては一定の準備を始めたのだから、もう一度、出来る限り交渉事は続けるべきだ。少なくとも戦争になるにしても、向こうの情報は多いに越したことはない。」
という意見が出てきた。それならば、と委員会では相手に是非訊きたい内容を検討。その結果として、
1)辞書を送って欲しい
2)(水棲かどうかを確かめるために)水とはどのような関係なのか?(図4)
3)こちらの人口を送るとともに、相手の人口を尋ねる
ことにした。
「まったく、ガガーリンが初めて地球を飛び出して100年目の記念すべき年だというのに・・・」
そんな言葉がむなしく響いた。

10.基準策定
 続いて我々委員会は2つの問題に限っての議論が展開された。
1.もし平和的に移民を希望してきた場合、彼らを地球に受け入れるのか?
2.もし相手が木星でのコンタクトを拒否し地球に向かった場合、いつ発砲するのか?
である。
一つ目の問題は
「人数が少なく、向こうが海に住むのであれば、受け入れても良いのでは?」
という意見が出たが、
「地球の魚を食べ尽くしたりはしないか」
「彼らの母星から動植物を持ち込まれ、生態系が破壊されてしまうのではないか」
などの意見が出て、これは却下することに。では地球以外の天体ならばOKなのか?様々な議論はあったものの、ガニメデやカリストならば良いのでは、という意見が優位であったため、この方向で調整が進んだ。
続いて2つめの方であるが、こちらは結局月軌道より内側に入った段階で攻撃する、という事が決まった。あまりにも地球に近づけすぎれば、卵を載せたカプセルをばらまいて去って行かれるのではないか、という事態を警戒したのだ。
その段階で
「もうなんか、相手が近づいてきたとき、問答無用で撃っちゃって、全てなかったことにしない?」
という弱音も出てきて、思わずみんなの心が揺れたのも事実であった。がみんなを正気に押しとどめたのは
「でもさ、これが母星を失った難民だった場合、寿学先生から『君たちはなんて事をしたんだ!一つの文明を滅ぼしてしまったんだぞ!』って怒られるんじゃない?」
という一言であったことを、ここで付け加えておく。
話が横道にそれたが、何はともあれ、これらの方針に沿って2061年10月に第2のコンタクト基地を月の孫衛星軌道に建設し始めた。だが相手から送られてきた人口を見たとき、委員会では「地球への移住は絶対拒否」の方針が強まった。彼らからの回答はこうだった。
「宇宙船には12人、母星には600億人」
委員会全員が絶句した。
「600億ぅ?!」
「こいつら絶対卵産んでるな。」
「しかし、12人だけとは好都合。いざとなったらあの船を沈めて、何も無かったことにしよう。」
「そうだそうだ。これならそんなに大げさな武装はない。勝てる!」
こうして我々はトリガーに指をかけることを前提に、様々な懸案を片づけていった。

11.最後通牒
 西暦2062年。ついに小惑星帯に配置された観測機器群が相手の宇宙船の姿を捕らえた。大きさは1kmほど。車輪形をしていることから回転により疑似重 力を発生させているようだ。どうやら重力制御の様な技術は持っていないらしい。それなら万が一戦闘に鳴った場合も我々にも勝ち目がある。しかも向こうには 12人しか乗っていない。好都合だ。
しかし相変わらず、木星でのコンタクトを求めた通信に対しては返答がない。どうやら本気でこの件は無視するつもりらしい。しかし「アルテミスの首飾り」 建造開始から2年。こちらの作業工程は順調であることだし、対応も発砲基準も明確になった。では無視されるかも知れないが、一応「最後通牒」を行うことに した。それは
「月軌道にて停止されたし。なおこれより内側に侵入した場合、攻撃・撃破する」
という内容を絵で表したものだった(図5)。そう、未だに我々は辞書交換が成立しておらず、相手に絵でメッセージを送るしかなかったのである。残念なことに。
さらに「撃たずに済む」理由を探すために
「地球来訪後、そのまま帰る気はあるか?」
という質問もしてみた。帰る気があるなら、無益な殺生はしなくてもいい。
半年後、彼らからの辞書が到着した。名詞だけではあったが、少なくとも全く交渉に応じる気がないわけではないらしい。さらには
「水との関係」
を問いただしたメッセージについての返答もやってきた。これは残念ながら我々の期待を裏切り、水がないまたは水が少しある環境、つまり陸地が良いというものであった。
「なら別に地球でなくてもいいんじゃないの?」
そう言う疑問を誰しもが持ったが、結局木星でのコンタクトの件だけは最後の最後まで黙殺されたままだった。
誰かが言った。
「もしここで撃たなかったら寿学先生から『何で撃たなかったんだ!君たちは地球人類を滅ぼす気か!』って怒られるんじゃないかなぁ・・・」
もう力無く笑うしか出来ない委員会一同であった。

12.緊張緩和、そしてコンタクト準備
 彼らが到着するまであと1年と少し。現在は慣性航行中であるが、冥王星軌道の外側から減速しながら太陽系に侵入してくる彼らの宇宙船は、1年後には誰で も見えることになるだろう。撃破するなら相対速度が0に限りなく近づいたところが良い。しかも母星に応援を求める間もなく、一撃で破壊することが望まし い。そしてそのポイントは月軌道をから内側に入った瞬間あたりだろう。
防衛軍の司令官らとの綿密な打ち合わせが続く。
「エンジンだけを狙えないか」
「ノズルさえ使い物にならなくすれば、航行能力を失う。拿捕が可能なのでは」
などという意見も出たが、基本的には「撃破」の方向で調整が進んだ。
「キューバ危機の時のケネディ大統領も同じ気持ちだったんだろうなぁ。『頼むから止まってくれ。でなければ戦争覚悟で攻撃だ』ってね。」
などとも思った。
そして緊張の解ける時が訪れた。コンタクト基地完成とともに、まるでタイミングを狙ったかのように、
「帰るつもりあり」
「月軌道停止OK」
のメッセージが届いたのだ!
委員会全員の口から安堵の溜息が漏れた。我々は戦争を回避できるかも知れない。少なくとも最初の山場は越えたのだ。
だがそれを喜んでばかりはいられない。あくまでも停船に応じてくれただけで、相変わらず移民を求めている事以外は謎のままなのだ。一体どんなメンタリティを持つ種族なのか?平和的につきあうことは可能なのか?
防衛軍司令官の指は未だにトリガーに掛かったままだ。しかも「念には念を」と、月面に資材打ち上げ用のマスドライバーという名目も兼ねて、レールガンを設置する事に決定。早速建設が始まった。「闇討ち1号」という話もあったが、一応ボツになった。

明けて2063年、相手から「1AU離れたところに停船し、代表2名を送る」というメッセージがやってくる。早速「了解した」というメッセージを返信する。
さらに「アルテミスの首飾り」が3年の歳月を経て遂に完成。10月には月面上に建造中だったマスドライバーも完成し、ハード面ではファーストコンタクトの準備が全て整った。

13.ファースト・コンタクト
 さて、では次の課題はソフト面である。一体何を交渉するのか?相手にガリレオ衛星を引き渡すなら、何を見返りとしてもらうのか?それよりなにより、最も重要なファーストインプレッション(第一印象)をよくするためには何をすれば良いのか?
そこでまず人員は基地全体で100名ほど、交渉には向こうと同じ2名で当たることにした。そして何かあった場合はあらかじめ仕掛けてある爆弾で基地ごと 宇宙のチリになってもらう事にした。さらに同時に地球及び火星周回軌道上の「アルテミスの首飾り」全機をもって、宇宙船を攻撃することも決定した。
交渉に当たって決めたのは以下の内容である。
1)出迎える時の挨拶は、「右上肢を上に、左上肢を下に」という相手の挨拶とおぼしきポーズ(図6)で歓迎する。
2)来訪目的を問いただす。もし移民であれば、地球への移民は拒否、ガリレオ衛星ならば条件によってはOKとする。
3)移民を認める条件としては、宇宙船またはその設計図などの引き渡しを求める。これはいざというときのために、我々が恒星間航行能力を獲得するためである。
4)問題の第4メッセージについてはどういう意味があるのかを再び問いただす。
それ以外は協議期間を設けて互いに持ち帰って協議することとした。

西暦2064年1月。人類はまさに世紀の瞬間を迎えた。やって来た異星人に対し、例のポーズを取る。それに相手も応えた(図7)。
「やった、成功だ!」
我々は確信した。
しかしここから先は大変だった。彼らは「スペースコロニーを提供する」という提案を拒否。あくまで地球への移民にこだわる。ガニメデへの移住は了承した ものの、「テラフォーミングを地球人側で行って欲しい」と条件が付く。見返りとして求めた「宇宙船またはその設計図」は拒否される。
これらのことを全て絵で交渉しなければいけない。我々委員会は地球人の英知を傾け、「Question & Answerボード(仮称:図8)」を開発していた。これが実際の交渉を円滑に進めた「縁の下の力持ち」となったのは言うまでもない。
交渉はさらに進んだ。交渉の際に尋ねた彼らの繁殖率は、予想を上回るものだった。「10人が100年後には何人になっているのか?」という問いには「10万人(!)」という返答。
「やはり地球には受け入れられない」
みんながそう実感した。
異星人は使節交換を申し込んできたが、我々にとって何もメリットがないと判断し、これはこちらが拒否した。
最後に
「これで立ち去るが、その際に攻撃する気があるか?」
という質問が出た。去る者をあえて撃つ必要もない。我々は「NO」を示した。満足したのか、彼らはそれを見て立ち去っていった。

14.結局アヒストとは・・・
 彼らは太陽系から去っていった。一体彼らはどういう種族だったのだろう?わかったことは以下のことだけだ。
1)水棲で、すさまじいまでの繁殖力を持っている。そのため母星の人口が爆発的に増え、移民先を探しに来た。
2)恒星間航行能力を持っている。電波は使わず、光通信のみを用いる。
3)秘密主義と言って良いほど自分たちの情報を明かさない。信頼関係を醸成する相手としてはいかがなものか?
去ってしまった彼らのことはこれ以上詳しいことはわからないだろう。だがいずれ彼らは大移民船団でもって太陽系に押しかけてくるに違いない。我々はその時に向けて、次の準備に入らなければならないのだ。

追伸.反省会
 Dチームを待っていたのは1枚の紙だった。
「彗星爆弾だぁ?!こんなもの準備してたのか!」
チーム全員が絶叫したのは言うまでもない。

追補.反省点、実際のファースト・コンタクトに向けて
 今回のシミュレーションで明らかになったことがある。それは以下の4点であろう。
☆辞書をどうするのか?(意志の疎通は簡単ではない。特に動詞)
☆相手のメンタリティー研究(勝手な思いこみを防ぐには重要)
☆技術差が大きい場合の外交戦略・戦術(もしくは地球防衛)
☆ミスの発生防止(送信時にチェックが甘く、ミスをしていた)
今後、この辺を検討し、FCSの精度を高める努力が必要だなぁ、と感じたCJ4でした。

特集「20世紀の天文十大ニュース」

●ブラックホールの予想と観測
 X線源であるはくちょう座X-1はその強度が約5日で変化し、青い超巨星と連星系をなしている。これは降着円盤から発せられたX線であり、その中心には 光を発しない大質量天体が潜んでいると考えられた。このようなX線天体は現在では数多く見つかっており、いずれも中性子星またはブラックホールが関与して いると考えられている。
また、クエーサーの発見以来、銀河の中心核にはブラックホールがあるのでは?と考えられるようになり、特にそのスペクトル観測の結果は太陽質量の数十万 倍から数百万倍のブラックホールの存在を示唆するものであった。1995年、日本の三好真らは野辺山及びVLAによる水メーザーの観測結果から、M106 の中心部分のガスが非常な高速運動をしていることを発見した。そして中心からの距離から考えると、太陽質量の約100万倍ほどの質量が、数光年(?)とい う大変狭い領域に存在していることが確認された。この結果から、中心部にはブラックホールが存在している事が証明された。

●クェーサー・活動銀河の発見
1950年代に多数の電波源が発見され、その中に光学的には星と区別できないが、強力な電波を発するものがある。1960年、トマス・マシューズとアラ ン・サンデージはこれらを特殊な恒星だと考えたが、その特徴があまりにも恒星からかけ離れていたため「準恒星状天体」略して「準星」と呼んだ。クェーサー という名前も英語の「quesi-stellar object」の「quesi-stellar」に由来する。また頭文字を取り「QSO」とも書く。
1963年に、3C48、3C273という天体のスペクトル観測したシュミットは、そこに見られた不可解なスペクトルを異常に大きい赤方偏移のためと考 えたが、それには膨大なエネルギーが必要であり、ここに全く新しい天体としてクェーサーが登場する。大きな赤方偏移、電波からX線までの強力な放射、激し い時間変化等々から、クェーサーの正体について様々な解釈がなされたが、現在では非常に遠い天体という説に落ち着いている。セイファート銀河、ブレーザー などクェーサーに準ずる銀河もたくさん見つかり、銀河中心核の活動は降着円盤を基礎とした統一理論が構築されるまでになった。

●大規模構造とダークマターの存在
 1927年、ヤン・オールトにより銀河系中の恒星のディスク面に対する上下運動の観測結果が発表されたが、これは当時知られていた恒星及び星間ガスの質 量のみから予想された値を超えていた。観測結果から得られた結論は、銀河系の質量は光学質量の倍は必要である、というものであった。これを当時「行方不明 の質量」と呼んだ。
続いて系外銀河の回転曲線が観測されるようになると、銀河の質量は光学質量の10倍ほどにならないと説明がつかなくなってきた。これは「行方不明」というにはあまりにも多すぎるため、名前を変更し「ダークマター問題」と呼ぶようになった。
その後X線銀河団の観測から、ダークマターは可視質量の~100倍にもなることが予想されている。
ダークマターの候補としてはバリオン物質(ブラックホール、中性子星、褐色矮星など、観測されていない天体)または非バリオン物質(ニュートリノ、アク シオン、Susy Perticle)が候補に挙げられているが、未だに謎のままである。また宇宙の大規模構造(大域的構造ともいう)を形成するためには、3K宇宙背景放射 から予測される「ゆらぎ」の大きさでは不十分であり、その点からも現在、宇宙進化を考える上でダークマターの存在を欠かすことは出来ない。
この宇宙の大規模構造は「銀河が一様ではなく偏在している」ことや、1970年代からコンピューター・シミュレーションの結果などからも指摘されてい た。これが1980年代にはいると、CCDカメラの登場によって銀河の距離を求めるのに必要なスペクトル観測の時間が短くなり、「宇宙の地図」を作る準備 が整った。1978年にはスティーブン・グレゴリーらが幅2億光年にもなる超銀河団を発見したのを始め、1981年にはロバート・キルシュナーらがうしか い座方向にさしわたし2億5000万光年にも及ぶボイドを発見した。そして1986年にはマーガレット・ゲラーらにより「銀河の地図」が発表され、グレー トウォールなどが見いだされた。
一方COBEの結果からは「宇宙はかなり一様」であることが示唆されており、この大規模構造がどのようにして形成されたのかは21世紀の課題である。

●宇宙背景放射の発見とビッグバン宇宙論の確立
 前世紀まで神の領域であった宇宙論は、1916年に発表されたアインシュタインの一般相対性理論によって初めて科学の分野に入ってきたといえる。様々な 宇宙モデルが論じられる中、1946年ジョージ・ガモフが宇宙はファイアボール(後にフレッド・ホイルによってビッグバンと名付けられる)より始まり、現 在数度Kにまで冷えてきていると予測した。そして1965年にアーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンにより、宇宙のあらゆる方向から3度Kに相当する 電波がやってきていることが発見され、これこそビッグバンの名残であると考えられるようになった。
その後、スティーブン・ホーキングによる「量子宇宙論」や、アラン・グース、佐藤勝彦らによる「インフレーション宇宙論」などで様々な問題を修正しながら、ビッグバン宇宙論は宇宙進化の根幹をなす理論として支持されている。

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